「闇バイト」実行犯に勧誘される若者の共通点とは?現役慶大生が開発、リアルすぎる「勧誘→脅迫」追体験する謎解きゲームの中身

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「闇バイトは、お金に困っている人が狙われるイメージがありますが、標的になるのは『孤独で相談できない人』です。普通なら『これっておかしくない?』と誰かに話せるところを、1人でスマホを握りしめているうちに、気づけば引き返せない場所まで追い込まれてしまうのです」

だからこそ、学校全体でプログラムを受けることに真の意義があるという。クラス全員で「疑似体験」を共有することで、コミュニティ全体に一種の「免疫」が形成されるからだ。

「共通の体験を通じ、『あの子、最近レイちゃん(ゲームの登場人物)と同じような悩み方をしていないか?』と周囲が気づけるようになります。個人のリテラシーを底上げし、互いに守り合えるコミュニティを作ることこそが、このゲームが提供できる真の価値です」

『レイの失踪』の波紋は学校現場を超え、広がりを見せている。25年に入り、公的機関との連携は劇的に加速した。創立わずか1年の学生スタートアップでありながら、総務省と共にプロジェクトを推進している。さらに、文京区での100名規模の防犯イベントの開催など、地域ぐるみの導入も進む。

背景には、特殊詐欺の被害が拡大し続ける現状を受け、「自分の地域から被害者はもちろん、加害者を1人も出したくない」という大人たちの切実な願いがある。

今井氏は、民間ならではの柔軟性とスピード感が、教育現場の閉塞感を打ち破ると確信しているという。

「深刻化する闇バイト等の社会問題に対し、行政側でも実効性のある対策が急務となっていました。『レイの失踪』が支持されたのは、エンターテインメントの力で生徒の主体性を引き出し、深い学びにつなげる手法が評価された結果だと思います。

限られた公的予算の中で、民間ならではの機動力を生かした連携こそが、教育現場をアップデートするカギになると信じています」

共感と連帯を武器に、若者がつくる新しい教育

スマホの画面の向こうに潜む「闇」に対し、教室から生まれる「想像力」で立ち向かう。『レイの失踪』は、現代の巧妙な犯罪から若者を守るための、新しい防波堤になろうとしている。

Classroom Adventureの挑戦は、闇バイト対策に留まらない。現在、ネット上の誹謗中傷やいじめをテーマにしたプログラムを開発中だ。

「いじめの根底にも、想像力の欠如があります。単に『相手の気持ちを考えなさい』と説教するのではなく、ゲームを通じて『自分の行動の先に起きる事柄を想像せざるを得ない状況』をデザインしたいです」

説教ではなく共感を。孤立ではなく連帯を。Classroom Adventureが描き出すのは、若者が自らの知性で、身を守るための新しい教育の姿だ。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
末吉 陽子 編集者・ライター

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すえよし ようこ / Yoko Sueyoshi

企業、大学、研究者へのインタビューを軸に、ビジネスからカルチャーまで領域を問わず幅広く取材・執筆。 

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