学校も教員も混乱必至、《高校「数学」で学ぶ内容を再編へ》"AIを使う上で基盤となる単元"の充実で何が起こるか?

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「よく『AIに使われる人間になるのか、それとも使いこなす人間になるのか』と言われますが、単に行列やベクトルの知識を学んだだけでは、AIを使いこなせるようにはなりません。

数学は論理を学ぶ学問であり、『なぜこうなるのか』を、筋道立てて考えることが目標となります。それは生成AIでも同じ。例えばChatGPTを使う時に必要なのは、行列やベクトルといった知識ではなく問いの立て方、つまりプロンプトの入れ方なのです」

例えば、同じ問題について生成AIに尋ねるにしても、単に「答えを教えて」と尋ねるか、自分で解いたうえでわからない部分を詳しく尋ねるか。それによって生成AIの返答は大きく異なる。論理的にプロンプトを入力できることが重要であり、自分の頭で論理的に考える力を数学で学ぶべきだという。

身近な事例と絡めた授業の魅力と難しさ

「ほとんどの教員は『いい授業=わかりやすい授業』と思っています。しかし、知識ベースの授業はAIやデータベースに取って代わられ、教員には今後、『数学への動機づけをする授業』が求められていくでしょう。

その意味では、今回の再編案はいいと思いますが、『数学への動機づけをする授業』が実際にできるかどうかはまた別の問題です」

生徒が数学に興味を持てるよう、次の学習指導要領の方針を示す文科省の資料には、「ローン金利」や「ゲームのガチャの確率」など、日常の身近な例と数学を結びつけるような学びの事例も挙げられている。

「そうした授業は単にわかりやすいとか、受験に役立つといったレベルを超え、日常生活と数学の結びつきや指導法を深く理解していないとできませんから、教員側に相当な力量が求められるでしょう。

社会や企業では数学のどんな知識が使われているのか、仕事をするうえではどんな能力が求められるのか知ることも必要ですが、それを教員が教えるのは難しいもの。文科省と企業が協力して『この業界の最先端ではこんな数学の知識を使っている』『ここを学んでおくといい』と示すのもいいかもしれませんね」

数学も、自分の頭で考えることも、本来はとても楽しいことだと竹内氏は語る。今の子どもたちは、どんな道に進むにしてもAIと共生する社会で生きることになるだろう。大人たちがこれまで経験してこなかった未来に生きる子どもたちのための学習指導要領の動向から目が離せない。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
吉田 渓 フリーライター

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よしだ けい / Kei Yoshida

神奈川県出身。大学在学中からフリーライターとして執筆活動を開始。近年は心と身体、教育、ワークスタイルなどを中心に執筆を行う。ライフワークは農業や漁業にまつわる言い伝えや桜の言い伝えを調べること。著書に『働く女のスポーツ処方箋』がある。

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