カナダ・カーニー首相が「ダボス会議」演説で示した「対トランプ」潮目の変化とは?グリーンランド問題を機に、各国は「偽りの看板」を外し始めた
カーニー氏は昨年3月に首相に就任した。ゴールドマンサックス勤務後、カナダ銀行やイングランド銀行の総裁を務めた金融のプロであり、政治家の経歴はまったくないという異例の首相だ。
首相就任当初から「トランプ大統領の脅迫と分断された危険な世界に直面した未来を心配している」「カナダを弱体化させ、疲弊させ、アメリカに支配させようといういかなる試みも拒否する」などとトランプ大統領を批判し、「志を同じくする者同士による世界秩序の構築を目指すべきだ」という主張を展開していた。これは経済と安全保障をアメリカに完全に牛耳られているカナダでは例のないことだった。
駐カナダ大使の山野内勘二氏が書いた『カナダ』(中公新書)などによると、カナダにとってアメリカとの関係は苦難の歴史の連続だった。
独立前の英国の自治領時代からカナダはアメリカの領土的野心の対象であり、トランプ大統領の「カナダはアメリカの51番目の州になる」という悪趣味な表現は今に始まったことではない。
厄介な隣国、従属ばかりでない独自外交
圧倒的な国力の差があるアメリカと8000キロの国境線で接しているため、アメリカの機嫌を損ねる政策をとれば直ちに報復にあいかねない。
筆者が数年前に会ったカナダの元駐米大使は「アメリカはカナダにあれこれと無理難題をふっかけてくる。こちらは正面からケンカをするわけにいかない。その結果、多くの国民がアメリカを本当に嫌な国だと思っている」と語った。
しかし、一方的に従属するだけではない。範囲は限られるがカナダは外交で理想を掲げ独自性を追求してきた。



















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