名キャスター・久米宏さん訃報――「肺がん」で知っておきたい早期発見の鍵。劇的に変わった検診、早期発見なら治癒も可能に【医師が解説】
筆者としては、後述するような環境要因や遺伝的素因があって、非喫煙者でもリスクを感じる方は、人間ドックなどを活用して高精度の画像診断を受けてもいいと考えています。
■タバコと肺がんリスク
肺がんの最大のリスク因子が喫煙(紙巻きタバコ)であることは、歴史的な事実です。では、加熱式タバコや電子タバコといった「次世代型製品」と、肺がんの関係はどうなのでしょう。
これらの製品は、紙巻きタバコよりも有害物質が少ないことがうたわれていますが、さまざまな研究報告では、「肺がんのリスクを高める可能性あり」と報告されています。
肺がんのような数十年のスパンで発生する病気への影響を確定させるには、さらなる長期的な観察研究が必要ですが、吸わないに越したことはなさそうです。
タバコ以外にもあるリスク
一方で、「タバコを吸わないから肺がんとは無縁」という考えは、現代では通用しません。世界的に見ると、非喫煙者の肺がん、特に非小細胞肺がんの腺がんが急増しており、肺がん全体の最大25%を占めています。
この背景にある重要な要因が、屋外の大気汚染、特にPM2.5などの微小粒子状物質です。
最新の研究では、大気汚染物質は直接、遺伝子を傷つけるのではなく、肺の細胞の中に眠っている「がんの種(EGFR変異など)」に刺激を与え、がん化のスイッチを入れてしまうというメカニズムが解明されています。
これは、空気の質が個人の健康を左右する、公衆衛生上の課題であることを示しています。
■がん家系と肺がん遺伝子
親が肺がんになったという患者さんから、しばしば「遺伝するのか」という質問をいただきます。しかし、ほとんどの場合の答えは「ノー」。肺がんの多くは、タバコなどの外因によって後天的に遺伝子が傷つくことで、発生します。
ただし、全体の数%から十数%では、生まれ持った遺伝子変異(親から子に受け継がれる遺伝子の傷)が関与して、肺がんが発症します。具体的には、TP53、ATM、CHEK2といったDNA修復に関わる遺伝子の変異や、特定のEGFR変異(T790M)を生まれつき持っている家系が存在し、非喫煙者や若年者での発症リスクを高めています。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら