鹿島臨海鉄道、「旅客も貨物も輸送する」経営戦略 工業地帯とともに発展、工場夜景ツアーが人気に
鹿島臨港線の運行の拠点となっているのは神栖駅だ。神栖駅は鹿島臨海工業地帯の西側に隣接しており、周辺の工場からの大半の貨物は、鉄道コンテナを積んだトラックにより神栖駅に持ち込まれ、そこで貨物列車へと積み替えられている。
神栖市は、およそ9万3000人の人口を擁するが、市内を走る鹿島臨港線では旅客輸送を行っていないことから、市民の足はもっぱらマイカーかバスとなっている。東京駅からは高速バス鹿島線が10~20分間隔で運行されており、神栖市の入り口となるアートホテル鹿島セントラルには約1時間半で到着することができる。神栖市内ではコミュニティバスの運行もあるが運行本数が極端に少ないので、ここから神栖駅に向かうにはタクシーが便利だ。
現在、鹿島臨港線の輸送品目は、発着共に化学工業品や化学薬品が多くを占めており、鹿島サッカースタジアム―神栖間に1日3往復(日曜運休)、神栖―奥野谷浜間に1日1往復(土休日運休)が運行されている。鹿島臨港線ではすべての貨物列車がコンテナ列車となっており、ここから分岐する専用線は、奥野谷浜駅から分かれるENEOSマテリアル専用線のみとなっているが、最盛期には多数の専用線が接続されていた。
神栖駅には昭和産業、全国農業協同組合連合会、鹿島臨海通運の専用線が、奥野谷浜駅には日本合成ゴム(現・ENEOSマテリアル)、武田薬品工業、三菱油化(現・三菱化学)、鹿島石油、鹿島電解、信越化学工業、鹿島アンモニア専用線が接続されていたほか、2018年に廃止となった知手駅にもクラレ、旭電化工業(現・ADEKA)、鐘淵化学工業(現・カネカ)、鹿島ケミカル、旭硝子(現・AGC)専用線が接続されていたが、現在は、ENEOSマテリアル専用線以外はすべて廃止されている。
鹿島臨海工業地帯の開発とともに発展
鹿島臨海工業地帯は鹿嶋市と神栖市の一帯にある工業地帯で、鉄鋼業、発電所、石油化学コンビナートなどの工場群を有する。約180の企業が2万2000人の従業員を雇用し、県下最大の工業集積を誇る。しかし、大規模な鹿島開発が行われる前は、砂浜と松林が広がるのどかな農村と漁村が広がる地域であったという。
そんな鹿島地区に大規模な工業地帯を造成しようという計画が具体化したのは1960年代のことだった。この時期、日本政府は「所得倍増計画」を打ち出し、日本は高度経済成長期を迎える。そうした状況の中で、1959年に県知事に当選した岩上二郎氏のもと、鹿島開発は県主導で進められることになる。


















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