【物流「2024問題」のリアル】プライドと経営苦の狭間で揺れ動くドライバー心、挫折からの希望をくれたトラックに乗り続けて
末兼はかつて、本気でプロ野球選手を目指していた。甲子園常連だった強豪校で主将を務め、東都リーグ加盟の名門に進学。ただ、理不尽なしごきに嫌気がさして中退し、中部地方の実業団へと移った。チームは所属1年目に都市対抗野球に出場したが、自身は補欠でベンチにすら入れなかった。後にプロで活躍した同僚もいて、才能の違いを思い知らされた。
生きる目的を失いつつあった折、末兼運輸の前身を経営していた親に「家業を手伝え」と誘われた。これを機に帰郷し、ドライバーへと転身。車いじりや運転はもともと好きで、子供の頃は映画「トラック野郎」の主人公・星桃次郎を演じる菅原文太に憧れた。
「自分もかっこよくなれた気がして、本当に天職だなと思った」(末兼)。野球では挫折したが、もう1つの夢を叶えたことで、人生を投げ出さずに済んだのだ。



















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