走れども無給、「零細運送」社長兼ドライバーの悲哀。物流の「2024年問題」後のリアル、足りぬ運賃上げ幅
北関東に位置する冒頭の農場は、3カ所目にして最後の集荷先だった。青果市場へと納品すれば、この日の仕事は終わり。午前8時過ぎに事務所兼自宅を出発し、延々と東に向かってきた道を、また戻るべくトラックは走り出す。一帯はすでに真っ暗だ。
末兼は頭の中で、早くも帰宅後の晩酌をイメージする。妻の手料理をさかなに、安焼酎の水割りを飲むのが唯一の楽しみだという。一刻も早く酒が欲しい。それでも高速道路に乗る区間は最小限にとどめる。料金が持ち出しになるからだ。
荷主との運賃契約は「1箱いくら」というもの。例えば、ホウレン草であれば、運んだ段ボール1箱につき80円。荷積みや荷下ろしなどの付帯作業、燃料費や高速代などの経費は「すべてコミコミの価格」(末兼)なのだという。割に合わないと感じても、断れば切られる。だから従うしかない。



















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