全区間一律50円、小田急電鉄「子育て支援」の実情 ロマンスカーにも「応援車」、利用客の反応は?

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小田急の公式資料によると、1965年度の年間輸送人員は2億9775万人だったが、2010年度は7億1040万人。その後、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で5億2523万人まで落ち込んだが、2024年度は6億9887万人まで回復している。完全に回復していないのは、少なからず少子高齢化や沿線人口減少の影響があると思われる。

しかし、地域と連携して鉄道利用の促進はもちろん、生活のさまざまな分野まで沿線住民を支援することによって、鉄道の維持と地域の成長を目指している。小田急は2021年11月に「子育て応援ポリシー」を策定し、「お子さまに多くのおでかけをお楽しみいだだけるように」と、2022年3月12日から小田急線の小児IC運賃を1乗車、全区間50円に設定した。

さらにベビーカーなどを抱え、電車の乗り降りにも苦労している利用者や、赤ちゃんが突然泣き出したりした際にも、気兼ねなく安心して小田急線を利用してほしい、という想いから「子育て応援車」を導入している。

この車両は小田急が保有する通勤車両(一部を除く)3号車に「小田急の子育て応援車」というステッカーを掲示し、子連れの利用者を温かく見守っていただけるように乗車中の利用者に協力を求めているものだ。2025年4月15日からは特急ロマンスカーでも「子育て応援車」の運用を開始している。

これらの取り組みは、小田急からさまざまな鉄道事業者に広がっていくと思われ、現に京急電鉄も2023年10月より小児IC運賃を全区間75円均一にする子育て支援を開始している。西武鉄道も2026年3月から小児IC運賃を1乗車50円均一にする予定としている。

そのパイオニアである小田急の「子育て応援ポリシー」とは、どういうものなのか。担当者に話を聞いた。

年間約230万人が利用

――小児・IC運賃一律50円制度は年間どのくらいの利用があるのか?

2024年度実績では、小児IC運賃として一律50円をご利用いただいたお子さまの数は、年間で約230万人にのぼります。

――サービスを実施した際の、利用者からの声は?

「子育て世代応援と地域活性化のために子供運賃50円にしたことはすばらしい」「感動しました」など、ほとんどが小児運賃を低廉化したことによる、前向きなご意見です。

車内が「子育て応援車」であることを示すステッカー(筆者撮影)
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