なぜ都立新宿山吹高校は「不登校経験者」や「尖った生徒」が集まるのか?マイペースで学べる《単位制・無学年制》、《同調圧力がない校風》の魅力

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尖った生徒たちは、学び方もそれぞれに個性がある。

「週2日は1限から12限まで授業を受けて残りの日は司法試験の勉強をする生徒や、前期だけでほぼ単位取得が見込める授業を集中して受講し、後期は学校に来ないで大学受験の勉強に専念する生徒もいます。そのほか、定時制に入ったものの『人から習わなくても自分で学べる』と確信し、本校の通信制に移る子も毎年5~10人ほどいます」(永浜氏)

自分で目標を設定し、学びをデザインし、継続する。これができる生徒の可能性を最大限に引き出せるシステムとなっており、進路は就職も含めて多様だが、東大をはじめ国公立・私立の難関大学の合格者も多い。

「新たな教育のスタイル」を先行実施

無学年・単位制という構造的な自由度の高さは、新たな学びへの挑戦を可能にしている。

東京都教育委員会は、今年度から都立高において「次世代の学びの基盤プロジェクト」を始めている。デジタルとリアルを最適に組み合わせた「新たな教育のスタイル」の確立を目指し、2029年に新設予定の「新たな教育のスタイル』の実施校」(旧仮称:都立新国際高校)が、その基幹的な学校となるよう開校準備に取り組んでいる。

この新設校で実施する学びを効果検証すべく、都は研究校を指定して複数の施策を進めているが、新宿山吹高校はそのすべての施策を実施している唯一の学校だ。

「本校では2022年度から通信制で独自のLMS(学習管理システム)『まなぶき』を導入しており、時間や場所に縛られずにレポートを提出し、添削が受けられます。また、定時制でも通常の授業をオンラインで受けられるようにしています。こうした柔軟な学びに先駆けて取り組んできた学校なので、新たな試みや効果検証がしやすいのです。

今年度からは新設校開校に向けたモデル校として、デジタル教科書の効果的な活用を開始するほか、通信制では学習成果を可視化する新たなLMSも導入。来年度は生成AIやデータサイエンスなど新分野のデジタル教材の活用も始まりますが、これは2028年度までに15教科まで拡大する予定です」(永浜氏)

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