延べ375名「海外大学合格」で断トツの広尾学園、人気高の現在地…AP(アドバンスト・プレイスメント)プログラムに注力する理由とは
それにしても海外大学への進学者が多い。なぜ海外大学を志望する生徒が広尾学園には多いのか、それを同校の教頭である植松久恵氏は次のように説明する。同氏は、後述する同校のインターナショナルコースの統括部長を経て現職に就いている。
「生徒たちは、『学びたい分野を最も追求できる自分に合った環境はどこか』という視点で大学選びをしています。その際に、海外大学が選択肢にあり、学びの環境が自分に合っている大学を選択しています。国によっては複数の専攻を自由に組み合わせて学べる国もありますので、学びたい学問分野が複数ある生徒にとっては海外大学が適していて、それで目指しています」
漠然と海外大学を目指しているわけではない、ということだ。375名の合格実績は、学ぶ目的が漠然としていない証しともいえそうだ。
これまでUCLA17名、トロント大学113名が合格
広尾学園の前身は、明治時代の自由民権運動指導者として知られる板垣退助の夫人・絹子たちを中心に、1918年に設立された「順心女学校」である。73年には文部省(現・文部科学省)の海外帰国子女教育研究指定校になっている。
そして07年に男女共学となり、「広尾学園中学校・高等学校」に改称する。このとき、中学と高校のそれぞれに新たに設けられたのが「インターナショナルコース」だった。
「帰国子女の受け入れを長くやってきたので、これを特色にしていこうとの考えからです」と、植松氏は言う。
帰国子女を主に受け入れるためのコースだったわけだが、当初はクラスの生徒数も10人以下でしかなかった。海外大学を目指すという明確な方針もなく、高校の1期生は数人でしかなかったこともあるが、高校1期生の卒業した10年の海外大学合格者はゼロである。11年から数名の合格者を出してはいるものの、まだ海外大学を目指す方針が固まっていたわけでもなかった。



















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