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「当初は月に数足しか売れず…」。小さな靴下工場が挑戦し続けた「自衛隊のための一足」、いま「究極の五本指ソックス」として支持される理由

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これらのプロモーションが功を奏し、2020年のコロナ禍に備えて準備を進めていたネット販売が注目され、「自衛隊員が愛用する超頑丈な靴下がある」と口コミが広がり急激に売り上げが伸びたのだ。これには亮滋さんも、「こんなに人気が出るなんて」と驚きを隠せなかったという。

5本指ソックス(写真:筆者撮影)

かつてOEM主体で年商10億円以上あった時代に比べ、巽繊維工業所の現在の年商は縮小している。だが、BtoCへの転換により利益率が高くなった。この利益は、次の投資に回され、新しい取り組みへの参入を可能にしている。

奈良を感じる刺繍を施した「ならまき めっちゃ薄い腹巻き」の開発にも、クラウドファンディングで挑戦した(写真:巽繊維工業所提供)

口コミも悪いもんじゃない

以前は、ネットによい印象を持っていなかった亮滋さんだったが、気持ちに変化が起きたという。

「口コミには悪いことしか書かれないと思っていて、あまり見ないようにしていたんです。でも、娘に『こんなに応援してもらってるよ!』と言われて覗いてみると、実際には肯定的なコメントをたくさんもらえていました。今では自分が元気のない時に、いただいたコメントを読んで頑張ろうって思えています」

「誰かのために」という思いで自社製品を生み出した父、そして父の商品をヒットさせた娘の素晴らしい連携プレー。だが、アパレル業界の国内シェアが1.5%を切る今、今後の舵取りはなかなか容易ではない。これからの展望を2人に聞いた。

「ユニクロさんやしまむらさんと同じ土俵に乗って競争したら、100%負けます。なので、自分たちにしか作れないものを作ろうって思いながら挑戦しています」(亮滋さん)

「5本指靴下って、海外の人にとっては履きづらかったりするんです。なので足袋の形なら履いていただきやすいんちゃうかっていう発想から、『足袋の靴下』を開発しました。今、海外向けのクラウドファンディングを始めています」(美奈子さん)

GUTS-MANブランドでは初めてとなる足袋型(TABI型)のパイルソックスとして、海外向けクラウドファンディングに掲載している商品紹介(画像:Kickstarter「GUTS-MAN Tabi Socks: Japanese Comfort & Durability」

2人は、この業界の未来を諦めていない。奈良の下町で丁寧に作られた靴下が、いつしか世界に流通する日は近いかもしれない。

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