
[Book Review 今週のラインナップ]
・『技術安全保障 科学とイノベーションは平和のために何ができるか』
・『きれいはいまもゆれている 外見・身体・アイデンティティの交差点』
・『未来を見通すビジネス教養 日本のすごい先端科学技術』
評者・みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔
一貫して、本書は「技術によって戦争を遠ざける方策」を議論している。著者が問題提起するとおり、優れた技術を戦闘で活用する方法は議論されても、平和のためにどう生かすかという観点では議論されてこなかった。
技術でどう戦争を抑止できるか 安全保障を学際的に議論する
現実的な脅威として戦争や大国間競争が存在する今、「すごい技術を創ればよい」というほど状況は単純ではない。「どのような技術でどのように戦争を抑止できるか」が重要性を増している。
サプライチェーンのチョークポイントとなる重要技術を保有すれば、有事の際、輸出管理を通じて敵国を牽制できる。もしくは、敵国がそのような重要技術を保有していても、友好国から迂回調達する手段が存在したり、代替手段が自国か友好国に存在したりすれば、やはり敵国の脅威を牽制できる。




















