1期生"延べ105人が海外大学に合格"、海外経験のない中学生がどう成長?新設の公立中高一貫「バカロレア認定校」広島叡智学園の"教育の中身"

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そのために、単なる教科ではなく、生徒が“より良い未来”を構想し、社会に実装する力を育む探究型プログラム「未来創造科」も用意され、生徒たちは「WELL-BEING 幸せ」「ENVIRONMENT 環境」「PEACE 平和」という3つのテーマを探究し、それぞれの答えを見つけていく。

高1の1月から高3までは、ディプロマプログラム(DP)を履修。最終試験(11月実施)を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得できるプログラムである。

国際バカロレア資格は、国際的に通用する大学入学資格として、世界の多くの国々の大学において、大学入学資格として幅広く受け入れられている。「日本語DP」の対象科目等を除き、英語、フランス語またはスペイン語で授業が実施される。

「最終試験という目標に向かうので、DPのプログラムはかなりハード。授業に加え、授業外でもレポート提出が求められる」(古市氏)

基本的には英語で授業が行われるが、理科や社会に関しては指導言語として日本語を選ぶことも可能だ。DPの中核をなす要素として、創造性、活動、サービス(CAS)がある。

新しい経験に挑戦し、新しいスキルを開発し、他の人と協力し、学んだことを振り返るという取り組みで、学生がスポーツ、芸術、競技会、デジタル開発、ライティング、セルフガイド学習など、さまざまな環境で学び、成長する機会である。CASは、学生がDPに合格するために必要であり、計画、完了した経験の証拠、およびそれらの反映のコレクションとして評価される。

広島叡智学園 授業の様子
授業は基本的に英語だが、理科や社会は指導言語として日本語を選ぶこともできる(写真:広島叡智学園提供)

IBの教育プログラムを展開していくには、教員側にもIBに関する知識・理解の深さが求められる。同校は広島県立の公立なので、教員の人事は広島県が担う。そのため、必ずしもIBの教育プログラムに精通している教員が赴任するとは限らない。

そこで、同校の教員たちは、IB機関が教員たちに提供している研修プログラムに定期的に参加。IB教育の理念・実践・評価方法を体系的に学んでいる。

研修内容は3つのカテゴリーに分かれていて、最上級のカテゴリー3では学校全体のIB実施戦略、リーダーシップ、協働体制の構築を行うコーディネーターを養成。同校ではMYP、DPそれぞれにコーディネーターが配置され、校内での教員向け研修を実施してIB教育プログラムの実践をサポートしているのである。

寮では10名ずつのユニットで生活を送る

学生たちが生活する寮では、中学3学年、高校3学年をそれぞれ縦割りにして、10名ずつのユニットを単位に生活を送る。高校からは留学生も加わるので、異文化の体験とともに、国際性も磨かれていく。

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