日比谷高校「東大合格者81人」!年内入試は少数派、「第一志望主義」貫く"公立の頂点"躍進の裏側 新設の「恐竜学部」にトップ合格した生徒も

89%が「難関国立4大学」や「国公立大医学」志望
1878年に旧制一中として開校した日比谷高校は、東大合格者を多数輩出してきた。しかし、受験者が志望校を指定できない学校群制度が1967年に導入されると優秀な生徒の確保が難しくなり、ピーク時に200人ほどいた東大合格者数は1桁台にまで減少。その後2001年からの都立高校改革により「進学指導重点校」に指定され、独自の学校改革が実を結び、進学実績が回復した経緯を持つ。
2025年度入試では、難関国立4大学(東大、一橋大、京大、東工大<2025年度は東京科学大の理工系>)と国公立大学医学部医学科の現役合格者数は121人となり、ここ数年で最も多い結果となった。

とくに東大合格者数が81人(現役65人)と、前年の60人(同52人)から大幅に増えた点が注目されている。この結果について、萩原氏は「学校として東大進学を推奨しているわけではなく、生徒の志望を尊重した結果」と説明する。
「現3年生(317人)の志望調査でも、第一志望を東大とする生徒が55%、京大・一橋大・東京科学大(理工系)を合わせると73%に上ります。国公立大学医学部医学科志望は16%で、合計89%の生徒が難関国公立大学を第一志望としています。そのため、本校では国公立大学の受験を前提としたカリキュラムを編成し、各学年3回の個人面談と1回の三者面談、各種ガイダンスなどを通じて個々の課題に応じた情報提供を手厚く行い、最後まで第一志望を諦めさせない『第一志望主義』の進路指導を行っています」

2025年度入試における躍進の理由について、萩原氏は「在学中にコロナ禍が明けた影響も大きいのではないか」と話す。
「行事や部活動が再開され、メリハリをつけながら両立を図ることで、学習への集中力が増したのではないでしょうか。対面授業に戻り、再び学校の授業をベースに学習を進めていけるようになったことの影響も大きいように思います」
文理選択は高3から、毎日「学年+2時間」の自学は必須
大学合格を支える“ベースとなる学校の授業”とは、どのようなものか。
日比谷高校は、前期・後期の二期制で、授業は「45分×7時間制」を採用。2年次までは文理を分けずに全科目を履修する「教養主義」を掲げ、国公立大学の受験を見据えて「理社のうち1科目は高2のうちに教科書レベルの内容は一通り仕上げておくとよい」と指導しているそうだ。
授業は教科書の基礎・基本の定着を重視。教員間で授業の進度や評価にバラつきが出ないよう、年4回の定期考査は学年ごとに共通の問題で実施している。小テストも頻繁に実施しており、漢字、古文・漢文の基礎知識、英単語、英文の暗唱については副教材などを活用して試験範囲を定め、数学は単元ごとに確認テストを行っている。