日比谷高校「東大合格者81人」!年内入試は少数派、「第一志望主義」貫く"公立の頂点"躍進の裏側 新設の「恐竜学部」にトップ合格した生徒も
また、グローバル人材の育成にも力を入れている。東京都教育委員会から「GE-NET20」や「海外学校間交流推進校」の指定を受け、英語を使った探究活動や海外派遣研修などを行ってきた。
「1・2年生を対象としたグローバルリーダー育成研修では、約40人の生徒が卒業生のいる企業や官公庁を訪問するなどして、グループ単位でSDGsに関わる課題解決の研究・発表に取り組んでいます。2年生の希望者約20人が参加する海外研修では、MITやハーバード大学、アスペン研究所などを訪問して英語で提言発表を行い、フィードバックを受けます。今後は、探究の内容を社会実装する経験にまでつなげ、そこでの試行錯誤からも学べる機会をつくりたいと考えています」
時間の使い方が上手な生徒たち、どんな校風?
学習以外の活動も盛んだ。1・2年生の部活動加入率は兼部も可能で111%と高く、前期には体育大会、合唱祭、星陵祭(文化祭)の3大行事も行われる。部活や行事と学業を両立できる同校の生徒の特色として、萩原氏は「負けん気が強いこと」と「物事の優先順位を明確にできること」を挙げる。

(写真:日比谷高校提供)
「自分にとって優先順位の低い課題は通学の電車の中で確認を済ませるなど、時間を上手に使える生徒が多いです。また、負けん気は強いけれども、『人と違う印象』を与えることを好まないのか、各種コンテストなど校外で実績を上げていても、学校ではあえてそのことを話そうとはしません。私が2023年度まで校長を務めていた都立西高校とは校風の違いを感じます」
西高校も日比谷高校と同じく「進学指導重点校」に指定されている進学校だが、萩原氏はその違いについて次のように話す。
「西高は開校当時からの潮流をくみ、尖った個性を認め合うような多様性を享受する風土があります。まずは自由の中に秩序があるという校風。一方、日比谷高は、都立高校改革の歴史的な流れの中で学校改革を行ってきた背景もあり、『秩序ある自由』が尊重されます。進学指導重点校として目指すところは同じですが、両校の雰囲気はかなり違いますね」
伝統のある日比谷高校だが、入学者層は昔に比べ変化も見られる。近年は帰国子女が約2割に上り、帰国のタイミング等により中学受験を選択せず日比谷高校を目指した生徒もいるという。国立の中学校や私立の中高一貫校から受け直してくる生徒も「毎年10人を切ることはない」といい、女子生徒が「共学のほうがよい」「在籍校の系列大学への進学を希望しない」との理由で受験するケースもあるそうだ。
また、近年は小学生親子の関心も高い。そのため小学生対象の学校見学会・体験授業も実施しているが、「中学受験すべきかを検討したり、中高一貫校を受験予定の親子が志望校に合格できなかった場合の進路を考えたりする機会として活用されているのではないか」と萩原氏は見ている。