やりたいことを後押しする文化がある…社会に出て「花開く人」を続出する学校は何が違うか?野沢北高校"探究学習の授業"をのぞいてみた

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「理数科人気もあり、普通科も難関校を目指す生徒も多く来てくれる状態でしたが、今後の少子化を考えた時に、交通の利便性の悪さなどのデメリットを考えると、従来の難関大を目指す教育だけで、生徒に選ばれる高校として存続できるかという不安が教員の中にもあったようです。ですから、職員研修などでも喧々囂々と議論を積み重ねたと聞いています」(柳沢校長)

うちの生徒につけさせたい力はどんな力なのか……。教員同士が哲学的な対話を何度も繰り返す中で導かれたのが「長い人生を見据え、粘り強い人間を育てる」ということでした。

「大学入試に粘り強く取り組むこともそうですが、その先の大学や社会に出てから花開くような人、答えのないことにも粘り強く取り組める人を育てたいという話になり、今の本校の教育の土台がつくられました」(柳沢校長)

こうして、大学受験をゴールとせずに、その先にある未来に向けての力をつけるカリキュラムが作られていきます。

教員側の探究に対する負担感をつくらない

普通科でも探究的な学びを始めるに際して、同校の教員らは京都市立堀川高校を視察に行きました。

堀川高校といえば、今や探究学習の元祖として全国的に知られる高校です。堀川高校が行う先進的な取り組みを参考にしようと考えていたのですが、何度か足を運ぶ中、教員たちは両校の置かれている環境が大きく異なることに気づきました。

堀川高校は京都市立の学校で、自治体としての規模が違います。また、周辺に研究機関や大学が多く、連携先を見つけやすい地域でもありました。これに対し野沢北高校は、地方の小さな地域にあり、連携できる大学や研究機関は限られています。

堀川高校の探究は参考にはできるものの、そのまま取り入れることは難しく、野沢北高校独自の探究スタイルを考える必要がありました。そこで思いついたのが、同窓会との連携です。野沢北高校の同窓会は、毎年、卒業30年と50年の学年が集まり周年大同窓会を開催、在校生支援のための寄付金を約300万円集め、学校を支援していました。

寄付金は、現在も生徒たちの海外研修や探究活動など、さまざまな取り組みをバックアップしています。同窓会に探究活動支援の協力を呼びかけると、快く引き受けてくれました。さらに、地域の企業や自治体にも声をかけ、これらを外部サポーターとして組織化、必要に応じて生徒たちの探究活動に関わってもらえる体制を整えていきました。

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