「女子大はいらない」は本当か? 共学化ラッシュの陰で、昭和女子大総長が語る"自己抑制女子"を目覚めさせる仕組み

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Q:昭和女子大学は就職に強い大学というイメージが強いですが、就職実績が優れているのはなぜですか?

坂東:2010年度に、それまで学生部の中にあった就職指導担当部署を独立させて「キャリア支援センター」を作り、学生の就職支援を強化することにしました。

さらに教員組織の中にも「キャリア支援部」を作って教員も就職支援を担当することにしました。職員だけが就職支援をするのではなく、職員と教員が協力して学生を支援する体制としたのです。

教員は就活経験のない人が多く、何をしたらよいかわからないとの声がありましたが、「企業との接触はキャリア支援センターの職員が担当するから、先生達は学生を応援・指導してください」と言って協力していただきました。

本学では1年生から女性と人生、女性と社会、労働法規などの講座でキャリアについて勉強します。さらに社会人メンター制度を設けました。これは学生が信頼できる社会人女性と直接出会い、卒業後のキャリアプランやライフスタイルについて相談できる機会を大学が提供する制度です。

学生の母親は主婦の方が多く、学生の社会人のロールモデルが大学の教員しかいないという状況でした。これでは偏りがあるので、社会人の方々を募って学生にアドバイスする「メンター」になっていただきました。

社会人メンターバンクを設立し、本学のOGか否かに関係なく応募してくださった社会人を登録しています。登録されたメンターには多様なキャリアを積み、女子学生のロールモデルとなる方が多くいらっしゃいます。個々の学生が希望するメンターと直接出会い、対話することで、自分の未来を具体的にイメージすることができます。

女子大の中で淘汰が進む

まとめ

女子大の共学化や募集停止が相次ぎ、「女子大の役割は終わった」とも言われる。はたしてそうなのだろうか。

2025年のジェンダー・ギャップ指数において日本は148カ国中118位で、G7(先進7カ国)の中で最下位。国内で女子が活躍しているとは言えない。

こうした状況を打破するには教育が重要であるが、性別役割意識などのアンコンシャスバイアスにとらわれて能力を伸ばす機会を逸している女子は少なくない。

インタビューで坂東総長が述べていたように、女子大には高校時代まで自分に期待せず、活躍するポジションを男子に譲っていた女子学生が活躍する機会がある。

日本のジェンダー・ギャップ指数が低いうちは女子大の存在意義は大きいと言えるのではないだろうか。

時代が変化しているので、それについて行けない女子大は淘汰されていく。インタビューにあるように、時代の変化に合わせた新しい学部の設置、グローバル化への対応、学生のキャリアの第一歩となる就職への支援などが充実した女子大はこれからも発展していくだろう。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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