数字の順番でいえば「9」の前は「8」だが、多くの人が「7の後継」と表現する。
なぜならば、「RX-8」は「独創の4ドアスポーツカー」(マツダ百年史 正史編に基づく)だからだ。大人4人が快適に乗車できる実用性も備えた、画期的な4ドアスポーツカーだった。

RX-8の前段は、1995年の「東京モーターショー」に登場したコンセプトモデル「RX-01」。RX-7の後継として、ターボチャージャーを装備しない自然吸気ロータリーエンジンを搭載するアドバンスド・フロントミッドシップを提案した。
ところが、マツダはその翌年にフォード傘下となり、経営立て直しのためにコストがかかるわりに販売台数が見込めない次期RX-7プロジェクトは、凍結されてしまう。
それから4年を経て、1999年11月の東京モーターショーでRX-8の原型となる4シーター・4ドアスポーツ「RX-EVOLV(エボルブ)」が登場し、それからさらに4年後の2003年1月、「北米国際モーターショー(デトロイトショー)」で量産型RX-8が登場する。

もう時効だと思うが、筆者が2000年代初めにアメリカ西部のサーキットでRX-8開発チームに遭遇した際、比較車両としてBMW「3シリーズ」を走らせていたことが印象的だった。
その光景を見て、RX-8の独創性を認識したと同時に、「RX-8はRX-7後継ではない」と確信した。
まだ見ぬ「RX-7」の後継モデル
RX-7後継に関する話題は、それからかなり先になる2015年の東京モーターショーに登場した「マツダ RX-VISION」まで待つ必要がある。

「RX」を名乗るだけに、RX-7後継と考えるのが普通だが、実物を見ると「カッコよすぎて、RX-7後継っぽく見えない」という印象を、筆者のみならず詰めかけたマツダファンの多くが持ったのではないだろうか。
ボディサイズも大きく、仮に量産されるとしても超高額のスーパースポーツとなる印象で、マツダの事業実態を鑑みると非現実的だと筆者の目には映った。結局、RX-VISIONはゲーム「グランツーリスモ」の世界の中でのみ生きていくことになる。
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