公明党をつなぎ留め、国民民主党を引き込めるか? 高市政権"安定化"のカギを握る自民党「最恐の聖域」の解体

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その背景には「昨秋の衆院選、7月の参院選での公明党の敗北は、政治とカネの問題を解決できない自民党への批判が公明党の支持減少にもつながった」(幹部)との認識があるからとみられる。

これまで公明党は「自民党の独断専行を止める“錨(いかり)”としての役目が重要」としてきた。だが、ここにきて、自民党がアメリカの要求も踏まえて防衛費の拡大などに踏み込んでいることから、「平和の党」という原点に回帰する意味でも連立の見直しが必要という考えに傾きつつあるとされる。

公明党は7日、緊急の常任役員会を開き、自民党との連立政権のあり方について協議したが、連立離脱論が相次いだとされる。「公明党と創価学会で高市総裁の保守的な政策などに対する懸念が強まっている」(学会幹部)こともあって、自民党内でも「高市氏の出方次第では協議が難航する」との見方が少なくない。

一方で、自民党の新執行部は、政権安定化のための新たな枠組みとして、国民民主党との連立・連携に全力を挙げる構えだ。ただ、公明党は連立維持に「歴史認識と靖国参拝」「政治とカネの問題の決着」など、極めて厳しい条件を突きつけようとしている。

これに対して高市氏は、自身による玉木雄一郎代表との極秘会談や、麻生氏と榛葉賀津也幹事長との会談などを通じて、国民民主党との連携を深めることで、「これまで同党と政治・政策両分野で歩調を合わせてきた公明党の離反を防ぎたい考え」(高市氏周辺)とみられる。

カギを握る“自民党の聖域”のメンバー変更

宮沢洋一
長期間にわたって自民党の税制調査会を仕切ってきた宮沢洋一税調会長(撮影:尾形文繁)

そうした中、公明、国民民主両党との連立協議にも大きな影響を与えるとみられているのが、国民が求めるガソリン減税や、公明党が主張してきた食料品の消費税率引き下げなどを協議する、自民党税制調査会のメンバー変更問題だ。

長期間税調を仕切ってきた宮沢洋一税調会長(旧岸田派)ら、いわゆる「インナー」と呼ばれる面々が、「恒久財源の確保を求めて合意を阻んできた」とされる。そのため、「連立協議を進めるためには、税調メンバーの総入れ替えが必要」(自民党新執行部)との指摘が相次いでいる。

これに対して、宮沢氏らインナーグループにも「もう野党との税制協議には関わりたくない」との声が多いとされる。

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