"なぜ香りは心に残る?" ラグジュアリーホテルも導入する「アロマ調香デザイン®︎の力」、6500種以上の創香経験に知る心地よい香りの楽しみ方

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NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTO

京都・清水にある、野村不動産ホテルズが運営するホテル。「その地域と深くつながること。そこから生まれる素敵な経験をノーガホテルは大切にしています」というホテルのコンセプトをもとに、館内全体のシグネチャーの香りと、ホテルの目玉でもある地下にあるメディテーションルームの朝・夕の香りを監修しました。

NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTO
「地域とつながる」というテーマをもとに、館内全体の香りを監修(画像:筆者提供)

檜や黒文字、柚子など京都産の精油を取り入れ、「土地の記憶」を感じられる空間をデザインしています。またお部屋で楽しめるルームエクスペリエンスでは、ミニ調香キットも用意されており、ゲストが地域の空気を香りで体験できる、新しいホテルの在り方を示す事例です。

NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTO
NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTOの目玉、地下のメディテーションルームの朝・夕の香りも監修した(画像:筆者提供)

私が調香(ブレンド)にこだわる理由

私はこれまで6500種類以上の香りを創香してきました。大切にしているのは決して押し付けない心地よい香りであること。

天然精油は植物から抽出した数百の芳香成分を含み、それぞれが繊細に作用しあいます。合成香料では再現できない複雑さや奥行きを持ち、また一切手を加えない香りからこそ、私たち人間にとっても心地よく、深呼吸できるような感覚や、感情に響く力があるのだと思うのです。

調香は足し算でも引き算でもなく、全体のバランスを見極めながら“唯一無二の香り”をつくること。それが空間の印象を決め、人の記憶に残ります。また日本の木を使うということで、多くの方に受け入れていただける創香にもこだわっています。

調香(ブレンド)
調香の様子(画像:Photo /Yoichi Onoda)

私が香りをデザインする際に重視しているのは、精油の産地です。北海道の椴松、京都の北山杉、和歌山の熊野檜、高知の土佐柚子、鹿児島の芳樟など、実際に足を運んでリサーチし、その土地の香りを選定します。同じ檜でも土地によってまったく違う香りになるからです。

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