新卒と臨任しかいない「特別支援学級」、《残業は月120時間超》で休職に至った教員の叫び 通常級優先としか思えない…悲痛すぎる実態
その日を境に、北沢さんは出勤途中のバス停や職員室で涙が止まらなくなり、休職することになった。「早期復帰を目指していたのですが、日中に街で主任に似た人を見かけてパニック症状を起こしてしまい、完全な休職を余儀なくされました」(北沢さん)。
臨任や初任ばかりの支援級、通常学級優先としか思えない
それから1年余りが過ぎたが、現在も北沢さんは休職中だ。
「休職してから管理職に『あなたが帰れない状況を知っていたので、“早く帰りなさい”とは言えなかった』と謝罪されました。でも、ここまで支援級をぐちゃぐちゃなまま放置するのはやっぱりおかしい。臨任や初任ばかりを配属して、支援計画なんてないに等しいんですから。別の学校の支援級に勤務する友人に話を聞いても『ただの託児所状態になっている』と愚痴をこぼしていました。どこの学校でも通常学級を優先して、支援級は後回しにしているとしか思えない」(北村さん)
休職直後は教員以外の道を選択することも考えたが、現在は復帰して特別支援教育に関わり続けるつもりだという。
「世の中に仕事はたくさんありますし、このまま辞めてしまおうとも思いました。でも、特別支援学校で子どもが障害と向き合いながら成長していく姿を見守っていた時の幸せは、やっぱり教員じゃないと感じられないと考え直しました。支援級でも生徒たちが嫌だったわけじゃないですし、支援方法を工夫していれば、できることはいっぱいあったはず。でも、支援級の態勢ではそこまでの余力がなかった。申し訳なかったと思っています」(北沢さん)
最後に全国各地で支援級が崩壊している現状をどう思うか聞いてみた。
「すでにあるものが崩れていくのが崩壊ですよね。そもそも、きちんとした教育が受けられる下地がまったくないので、崩壊ですらないと思います」(北沢さん)
少子化で子どもの数は減ってはいるものの、特別支援教育を受ける児童生徒は直近10年で倍増している。文科省も2022年に「今後採用するすべての教員に特別支援教育の担任を2年以上経験させる」よう通知を出し、特別支援教育に本腰を入れる姿勢をみせている。
だが実態は、現場の教員に丸投げの状態になってはいないだろうか。後編では、いまや小学校、中学校の支援級で過ごした子どもたちが進学することが多くなっている定時制高校の校長に話を聞いた。続きを読む……
(注記のない写真:Graphs / PIXTA)
関連記事
特別支援学級の教員が懇願「〇組"さん"と呼ばないで」、学校内でよそ者扱いに怒り
カオスな複式学級、ドリルを自腹で購入…教員に丸投げ、教材もなし「特別支援学級」の深刻
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら