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不登校の生徒が集う「生野学園」、人と深く関わる寮生活が子どもを変える理由 本来の自分を生きるための自由な学びと生活

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全体としての日課は大まかに決められているが、細かい日課は生徒自身が決める
(画像:生野学園HPを基に東洋経済作成)

「『全寮制=細かい日課が決められている』というイメージの人も多いかもしれませんが、生野ではそういった細かい日課はありません。入学したばかりの頃は生活リズムができておらず、中には昼まで寝ている子もいます。スタッフが無理やり起こすことはありませんが『不安があって眠れない』というケースもあるので、声をかけるようにしています。

その際、心がけているのが、本人が『どういう生活をしたいか』を考えられる話をすること。私たちは規則で子どもをコントロールするのではなく、自分で自分をコントロールする力を身につけてほしいと考えています」

左上/男子寮の部屋。4人用の部屋に現在は2〜3人で使っている。右上/女子寮の居間はみんなでくつろげる場所。左下/食堂での様子。同級生や先輩、後輩、スタッフと、あるいは一人で気分にあわせて食事。右下/食事はセルフで取る。完食する必要はない

大人との信頼関係が子どもにもたらすもの

とはいえ、集団生活をしていれば問題が起こることも当然ある。その際はまず寮委員たちがスタッフを交え、対応を考える。寮委員は生徒が希望や推薦でなる寮の世話役のこと。各寮にいる寮委員が対応を検討して、全員が参加する月に一度の寮会議で話し合うのだ。なるべく子どもたち自身で解決してほしいという思いからだが、寮委員に問題を丸投げするのではなく、必要な場合は解決に向けてスタッフもサポートを行う。

また、入学したばかりの生徒の中には、寮に泊まることができない子や、寮の自室から出てこられない子もいる。その際も、スタッフはその子の自主性を尊重しながら関わり続けるという。

「寮の自室から出られなかった子のケースでは、スタッフが一緒に会話をしたり、プリント学習を行ったりするうちに出られるようになりました。その後、その子は学校行事を運営するようになりました。また、中学ではほぼ自宅から通っていた子もいましたが、その子は高校から寮生活を送れるようになり、卒業式には『かけがえのない仲間ができたのが一番の財産』とスピーチしてくれました」

中学生は21時、高校生は22時には寮に戻ることになっているが、遅れても罰則があるわけではない。ただし、その場合もスタッフはその子に声をかけて話を聞く。何か不安があって戻りたくなかったということもあるからだ。本人の話を聞いたうえで、「共同生活では周りに迷惑をかけることはやめよう」という話をするという。

「大切なのは待つこと。日常生活でスタッフと一緒に何かをしたり、話したりする中で子どもたちは安心感を育てていきます。まずは大人と信頼関係を築くことで、子どもは安心して横のつながりを広げることができます。だからこそ、寮生活が大切なのです。とはいえ、共同生活はどうしても疲れが出ることもありますので、原則として週末は自宅に帰るルールとしています。遠方から通う生徒は、寮内に残ることもできますよ」

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