農業、家、映画、缶詰…アパレルが「畑違い」の領域に進出する訳、もはや「服を作って売る」だけでは限界か?ファッションで培った強みに可能性も
「当社も発起人企業として参加した、〈東北コットンプロジェクト〉というものがあります。津波で荒れ果てた畑を再び復活させるため、コットンをみんなで植え、そこで育ったコットンをみんなで使おうというものです。今ではファッション業界以外の地元企業も関わられています。
お金を集め寄付をする。それで助かる農家もいるかもしれませんが、結局は一過性で終わってしまう。現地の人たちはその先も生活が続いていきますから、出口のところまで僕らが関わることができれば、継続して生産者や地域を支えていける、ないしは協力していける。そこで築いた関係性が未来の財産になると考えています」


いい例が、〈アーバンリサーチ×フィッシャーマン・ジャパン〉プロジェクトかもしれません。その経験を経て、他分野と密接に関わっていくことで新たな可能性が生まれることが確信に変わったと言います。
「当時の担当者が震災後に石巻や気仙沼へ行った際、偶然出会った漁師さんに、漁師ウェアのカッコいいやつが欲しいから作ってと言われたらしいんです。フィッシャーマン・ジャパンとの取り組みはそこがスタート。それから約10年、水産業と連携した取り組みを続けています。
実際に漁師さんが着る服ですからプロユースのものもラインナップにはありますが、街で着たとしても遜色はない。むしろ、それ以上に価値あるものとして人に伝えたくなるようなプロダクトを心掛けました。そうすると、結果的に漁業と都市がつながるんです。このビジネスモデルが他の分野にも広がっていくといいですよね」
ほかにも、長野県の蓼科湖畔にオープンさせたキャンプ場を併設する宿泊施設、タイニーガーデンは地域の活性化やプロモーションにひと役買っているようです。

さらに、今年の1月には長崎県壱岐市とエンゲージメントパートナー協定を締結しました。

それらの活動を通し、宮さんは今後の業界の未来を予測します。
「最近は農業関係の方と話す時もあれば、林業の方と話す機会も得ました。アパレル企業として、地域ないしは現地のさまざまな企業と関係を築いていくことは大切と、これまでの経験から感じます。
ファッション企業が他業界の魅力を理解し、本業の中でリデザインしながらお客様へ届けることで、より国内の産業が元気になる。そういった取り組みを実施していくことは企業としても価値を高めていくことにつながるはずなので、どんどん広がっていくのではないでしょうか」
フリークス ストア、目新しい?けど原点回帰
活動の幅という点においては、フリークス ストアを運営するデイトナ・インターナショナルは注目すべき存在かもしれません。
彼らの活動を紐解いていくと、これまでのアパレルセレクトショップとは明らかに一線を画していることがわかります。
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