JR東海リニア「新車両」開発の陰で進む方針転換 静岡工区の教訓「わかりやすい説明」の重要性
この日、M10を使った走行試験の出発式が都留保守基地(山梨県都留市)で行われた。JR東海の丹羽俊介社長やM10を製造した日立製作所の役員のあいさつに続き、M10に一足先に乗ったという山梨県の長崎幸太郎知事が登壇。「すばらしい乗り心地。車内には足元にスーツケースを置けるような工夫もあって、多くの観光客が乗車することがリアルに想像できる」としたうえで、「期待値がマックスまで高まった。1日も早く走ってほしい」と最大限の賛辞を送った。
県は富士山5合目とリニア山梨県駅を結ぶ交通機関「富士トラム」という構想を描いており、「観光客のみなさんには山梨県駅で下車して富士トラムに乗って富士山にお越しいただけるといいなあ」とPRも忘れなかった。あいさつの後、長崎知事に「M10に乗車して、富士トラムのデザインに関してインスピレーションは得られたか」と尋ねると、長崎知事は「車内のインテリアでリニアと富士トラムの連続性が図られたら面白い」と答えた。

出発式は園児がお見送り
関係者らのあいさつに続き、地元の幼稚園児約20人が登場し、「リニアー」と大きな声で呼びかけると、トンネルからM10を組み込んだ5両編成のリニアが姿を見せた。サメ肌のフィルムは透明なのでアルミ地肌の色がそのまま浮き出ている。連結する従来車両と並ぶと、デザインの違いが際立つ。
テープカットが行われると、手を振る園児たちに見送られながら、列車は時速500kmの走行試験に向けて出発した。将来の営業車両の土台として、耐久性や保守性について確認を行っていくという。

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