買い物決済に「顔パス」が広がる…万博では200か所導入、ATMでも出入金可能に

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大阪・関西万博の会場で導入されている顔認証決済(6月9日、大阪市で)

顔の画像データから本人確認する「顔認証」が、決済などの金融分野に広がりつつある。大阪・関西万博では飲食店など約200か所で導入され、10月の閉幕までに数十万人の利用が見込まれる。一部銀行の現金自動預け払い機(ATM)でも、顔認証で出入金が可能になった。不正利用を見破る防犯対策が普及拡大のカギを握りそうだ。(池下祐磨)

6月上旬、万博会場の土産物店「いちびり庵」。サングラスをかけた男性客が「顔認証で」とレジの店員に伝え、決済端末のカメラに顔を向けると、1秒前後で支払いが終わった。

会場で顔認証決済を使うには、万博のスマートフォンアプリから、顔の画像やクレジットカード情報を事前登録しておく。大阪市の20歳代男性は「財布もスマホも必要なく、手ぶらで払えるのは革新的だ」と話した。店の運営会社の福岡武志社長は「会計にかかる時間が現金の4分の1以下で、現金管理など店側の負担も減る。もっと利用者が増えれば」と期待する。

顔認証技術は、米アップルのスマホ、iPhone(アイフォーン)に搭載された2017年から一般的な利用が広がり、空港の出入国審査で導入されたほか、通信大手ソフトバンクなどは社員の入退館手続きに使っている。ただ、決済での活用は一部の実証実験にとどまる例が多かった。

今回、万博会場で顔認証技術を提供するNECの行武徹也ディレクターは「万博ほど大勢の人が集まる場所での導入事例は過去にない」と話す。照明の強さなど周辺環境が異なる各店で利用データを集め、サービス向上と普及につなげる。

決済端末を開発した三井住友カードの渡辺 威王(たけお) 氏は「決済に限らず、ポイント獲得も“顔パス"で済む世界が作れる」と語った。

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