大阪の名門・北野高校、「京大合格107人」快挙の裏に"自律"で磨く異質な強さ 進路を指導でなく支援、特別な入試講習なし

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2025年度の大学入試における京都大学合格者数トップは、107人と全国の高校で唯一3桁台となった大阪府立北野高等学校(以下、北野高校)だった。同校は、大阪府が指定するグローバルリーダーズハイスクール(GLHS)にも指定されている。どのような教育を行っているのか、浅田充彦校長に聞いた。65分授業、進路「指導」はしない、体育や行事にも力を入れる――同校の特色を見ていこう。

「楽しい」授業で学びの意欲を引き出す

北野高校は、2018年度に京都大学における合格者数トップを獲得。それ以降8年連続で1位を保持している。2025年度入試では、2020年度に100人の合格者 を出して以来、5年ぶりに3桁の大台に乗せた。浅田充彦校長はこう語る。

「本校にはもともと力のある生徒が入学してきますが、さらに本校の授業で基礎学力を固めつつ思考力を深めていきます。意外に思われるかもしれませんが、東京大学や京都大学のような難関大は、しっかりとした基礎学力がないと合格できません。基礎学力があることで、問題を取りこぼさないんです」(浅田校長、以下同じ)

同校では、通常の50分×6時間授業ではなく65分×5時間授業を行っている。朝夕のホームルームもなく、総務の生徒が中心になってクラスをまとめている。

「65分授業の狙いの1つは、授業時間の確保です。これで1日に25分間、授業を延長することができます。もう1つは生徒同士が話し合ったり、考えを深めたりする授業のやり方だとどうしても時間が必要になりますし、演習や実験にもじっくり取り組んでもらいたいと考えています」

2011年度から「文理学科」を新設し、2年生に進級するときに「文科(人文社会国際系)」と「理科(理数探究系)」に分かれるカリキュラムを導入した。普通科の枠組みにとらわれない、柔軟なカリキュラムを作ることが目的で、「理数数学」「理数化学」「異文化理解」などの発展的な科目が取り入れられている。

「毎年、教員全員の授業を最低2回は参観していますが、本校の特徴はとにかく授業が楽しいこと。学力をつけるには時間がかかりますが、大事なのは、生徒自身が授業時間のほかにどれだけ自主的に勉強するか。楽しいと思わないと、勉強は続けられません」

視野を広げる進路支援、特別な入試対策はしない

目覚ましい合格実績を誇る同校だが、進路については「指導」よりも「支援」の形を取っているという。支援組織は「進路指導部」ではなく「進路部」と称している。

「進路の指導を行うのではなく、自身で未来を切り開いていくための、支援を行うという考え方です。入学式では、『夢なき者に成功はなし』と語りかけます。夢を実現させるために、まずは方向性を決め、次に成功の具体像を描いて、そこに到達するための計画を立てて実行しなさい、と話しています」

浅田 充彦(あさだ・みつひこ)
1961年生まれ。大阪市立大学(現大阪公立大学)文学部卒業。大阪府立玉川高校などで国語教諭として勤務。大阪府教育センター、大阪府教育委員会高等学校課を経て、泉陽高、摂津高、生野高で校長を歴任。2024年より現職
(写真:本人提供)
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