【経営層向け】企業のセキュリティ対策「ポイントソリューション戦略」の限界値、経営幹部1000名に聞いた調査レポートに見る“課題感”と打開策

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このように「ポイントソリューション戦略」では、新しいソリューションを導入するほど「複雑性と非効率性」が増して個々のメリットが薄まり、最終的にセキュリティ効果全体が低下してしまう。そこで経営層はまず、「ソリューションが多いほどセキュリティを強化できる」という幻想から脱却し、複雑性に対処することが重要となる。

セキュリティの複雑性に「年間収益の5%以上」のコスト

さらに調査レポートでは、「セキュリティの複雑性にかかるコストは、平均して年間収益の5%以上に達する」と指摘されている。ここでいう“コスト”とは、セキュリティの複雑性によるセキュリティインシデントの発生や、非効率な運用、DXの失敗やAI施策の停滞、そして、顧客の信頼喪失や評判低下などに起因するものだ。年間収益が200億ドルの企業であれば、年間10億ドルもの損失につながる。

セキュリティソリューションの数と、セキュリティ効果の相関
ポイントソリューションでは一定以上増えるとセキュリティの効果が低下する
(出典:IBMとパロアルトネットワークスによる共同調査レポート『サイバーセキュリティーを収益源に変えるには:セキュリティー・プラットフォームでビジネス価値を生み出す方法』)

このようにセキュリティ効果の低下と経済的損失をもたらす「セキュリティの複雑性」に対処すべく、経営層は個別のセキュリティソリューションを1つのプラットフォームに集約・統合する「セキュリティプラットフォーム化」を進めることも1つの選択だ。セキュリティリスクとコストを大幅に軽減すれば、企業はより多くのビジネスチャンスを生み出すことができるだろう。

今回は、現在の「ポイントソリューション戦略」の限界と、経営層が抱えている課題について解説した。次回は、セキュリティのプラットフォーム化によるメリットをさらに詳細に深掘りしつつ、セキュリティプラットフォーム構築の手順を解説していく。

東洋経済Tech×サイバーセキュリティでは、サイバー攻撃、セキュリティーの最新動向、事業継続を可能にするために必要な情報をお届けしています。
アリイ・ヒロシ パロアルトネットワークス株式会社 代表取締役会長兼社長

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ありい ひろし

米Palo Alto Networksの日本法人、パロアルトネットワークス株式会社の代表取締役会長兼社長。米国にて大学を卒業後、本田技研工業の米国法人で営業・マーケティング、技術、品質管理を担当。海運会社P&Oネドロイド(現、A.P. モラー・マースク)に移籍後、日本に赴任して事業戦略部門の責任者としてアジア太平洋地域を統括。その後、日本BEA(現・オラクル)に営業職として移籍し様々な要職を歴任したのち、2005年に同社代表取締役社長に就任。2007年にはウィプロ・ジャパン代表取締役社長就任、2011年からはF5ネットワークスの代表取締役社長就任、2014年8月にパロアルトネットワークス株式会社代表執行役員社長に就任しました。オフタイムは身体を動かすことを好み、過去には横浜カントリー&アスレチッククラブでキャプテンを務めたほか、現在も東京アメリカンクラブのメンバーの一員として活動中。

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