流暢な英語を話す生徒たち、横浜創英の英語学習は「AI×自律学習」でどう変わったか 「目標設定・メタ認知・手段の選択」を重視
また、これまで課題だった発音の誤りがなくなったと若尾氏は言う。
「作成した英文をELSAに入力すれば、AIが正確な発音で読み上げ、それを復唱した生徒の発音を解析してイントネーションの改善点などをフィードバックしてくれます。おかげで教員が個別に指導をしなくても、生徒たちはきれいな発音で流暢な英語を話せるようになりました」(若尾氏)

横浜創英中学・高等学校 英語科主任
英語科主任の山本響子氏も、「昨年度にELSAを導入したのですが、生徒たちが楽しそうに発音をよくしていこうとする姿が印象的です。相手がAIだからこそ恥ずかしがらずに話せる生徒もいます。1人の教員が1クラス40人の生徒全員の発音をマンツーマンで指導することは難しいですが、AIが教員に代わる伴走者の役割を果たしてくれることを実感しています」と話す。
30年にわたり子どもたちの英語学習を見てきた山本崇雄氏は、AIの活用によって生徒たちの語彙力や表現力が磨かれるようになったと感じている。

横浜創英中学・高等学校 副校長
複数の学校・企業と雇用契約を結んでいる二刀流(複業)教師。都立中高一貫教育校を経て、2019年より複数の学校および日本パブリックリレーションズ学会理事長、News Picksなど複数の団体・企業でも活動。Apple Distinguished Educator、LEGO® SERIOUS PLAY® メソッドと教材活用トレーニング修了認定ファシリテーター。「教えない授業」と呼ばれる自律型学習者を育てる授業を実践
例えば、ある生徒が「challenge」という単語を使いたいものの、動詞の使い方がわからずAI翻訳ツールで確認したところ、「challenge oneself to do something」という使い方が提示され、それを参考に「I challenged myself to read a book in English.」という正しい英文を作ることができたという。
「AIの活用により、『覚える』から『理解して使う』という学習に変化したと感じています。僕が教師になりたての頃の子どもたちの英語は、教科書に載っている表現止まりでした。その後、2015年ごろからインターネットで手軽に翻訳ができるようになり、翻訳ツールが提案する表現を学べるようになりましたが、“身の丈に合わない難しい表現”を無理やりカタカナで使うような状況でした。しかし、AIの登場により、子どもたちが使う英語はある程度本人たちのレベルに合ったものへと改善され、発音まで提案されるようになりました。そのおかげで教師側には時間の余裕が生まれ、1人ひとりに合わせた個別指導にも十分な時間をかけられるようになっていると感じます」(山本崇雄氏)