混戦のフリマアプリ、後発メルカリが爆伸 ダウンロード数は絶好調、ただ競合も相次ぐ

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メルカリは後発だが、取り扱う商品分野や対象の性別を限定せず、幅広い層が使えるサービスとして展開する戦略が奏功。アプリの操作性を磨き、わかりやすいデザインを徹底したこともあり、DL数を急伸させた。足元ではユーザーの半数以上が20~30代の女性で、衣料品関連が取引点数の4割近くを占める。

DL数に対してユーザーや売買金額はどの程度か。調査会社のニールセンによると、スマホを通じたオークション・フリマサービスのユーザー数(アプリとブラウザの合算、8月の数値)は、メルカリが567万人。ヤフオク!(1589万人)に次ぐ2位につけている。

主力の衣料品は競争が激化

メルカリは月間流通額を数十億円としているが、具体的な額は非公表。業界関係者の話を総合すると、フリマアプリは高単価の秋冬物衣料品の売買が盛んな10~12月が最大の書き入れ時で、メルカリはピーク時には50億~70億円程度の月間流通額があるもようだ。収益源は取引手数料で、出品者の売上高の10%を受け取っている。

海外展開にも積極的。2014年9月には米国に進出し、1年間で400万DLに到達した。すでにベンチャーキャピタルを中心に約40億円を調達しており、米国事業拡大に向けた人材獲得にも資金を積極投入する。株式公開については「米国事業で一定の成果が出てからになる」(小泉取締役)としている。

ただ、右肩上がりのメルカリだが、競争環境は決して甘くはない。主力の衣料品関連では、新たに強力なライバルが参入しそうだ。

EC(電子商取引)大手で「ZOZOTOWN」を運営する、スタートトゥデイがフリマ事業への参入を表明し、近くアプリを投入する見通し。月間流通額が平均で約700億円に迫るヤフオク!も、スマホアプリを通じて若年層の開拓に力を入れる。サービスが林立する中、利用者を囲い込めるかどうかが、今後の成長を左右する。

「週刊東洋経済」2015年10月17日号<10月10日発売>「核心リポート04」を転載)

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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