小学校受験で「泣く宇宙人」「なりたい虫」?人気校の傾向と出題例、3つの対策とは 注目は「体験学習」「大学一貫」「出願しやすさ」
2024年度入試の志願倍率ランキング、人気校の傾向は?
近年、「体験学習」を重視する学校が注目を集めています。

例えば、人気校のひとつである東京農業大学稲花小学校では、「稲花タイム」と呼ばれる体験型の授業が行われています。この時間には、「食と農」の博物館など農大の施設を活用したり、農大の教授が直接指導にあたることもあります。
また、給食の時間にも学びの工夫が凝らされています。日本の都道府県や世界の国々をテーマにした特別なメニューの日があり、子どもたちは食を通じて、それぞれの文化や地域の特色を自然に学ぶことができます。このように、日常の中に豊かな学びの機会がちりばめられているのです。
早稲田実業学校初等部:自然発見という授業があり、身近な生活の中からの気づきを発表し意見交換したりする
慶應義塾横浜初等部:「生き方科」という授業で、教科を横断した学びを重視。自然体験や家庭での暮らしを見つめる活動から始まり、社会の仕組みや課題を考える力を育成する
桐朋小学校:総合活動に力を入れており、育てて食べる食育や、「まとめの会」と呼ばれる表現活動が盛ん
また、トップ10には、東京農業大学をはじめ、慶應、早稲田、学習院、青山など大学までの一貫校が多く名を連ねています。中学受験の過熱や大学入試改革の影響もあり、「小学校受験をするのであればせっかくなら大学まで行ける学校に」という親の気持ちが色濃く反映されています。
一方で、実は「倍率」という観点では上位3校は「出願のしやすさ」も大きく影響しています。
都内の小学校受験では、毎年11月1日からの1週間に多くの学校の試験が集中します。例えば人気の慶應義塾幼稚舎は、例年11月1日から女子早生まれの試験が始まり、2025年度試験(2024年実施)においては11月1日~3日が女子、11月5日~8日が男子でした。
1日程で試験が行われる学校も、集合時間が複数あり、午前の早い時間であれば、そのあと別の学校も受けられますが、昼頃の集合時間だと同じ日に併願はできないということになります。
そのような中で、倍率4位の稲花小学校は、例年11月1日から4日までの間で希望する受験日を選べる仕組みとなっており、非常に受験しやすい学校です。また、慶應義塾横浜初等部の試験は、11月10日ごろに実施されるため、他の多くの学校と試験日が重ならず、併願しやすいのです。
さらに、東洋英和女学院小学部の試験日は例年11月2日(2026年度は11月2日が日曜日のため、試験日は11月3日に繰り下げとみられる)ですが、雙葉・白百合・聖心といった他の女子校の試験が例年11月1日に行われるため(雙葉は11月1日と2・3日のどちらか)、女子校を志望する家庭が集中しやすいという側面もあります。
小学校受験では、試験日程の決定に影響する生年月日や性別、五十音順、出願順などの情報を収集し、できる限り多くの志望校を受験できるよう、保護者は戦略的に出願を進めています。それでも、実際には前年と状況が変わることも多く、計画通りにいかないのが実情です。
「売れっ子アイドル化」する子どもたち
多面的に評価される小学校受験は、知識の記憶や繰り返しのトレーニングだけでは突破できない試験です。しかし、年々幼児教室通いが過熱し、毎日複数の教室を掛け持ちしながら受験準備を進める家庭が増えています。実際、コノユメSCHOOLで実施したアンケートでは、毎月の幼児教室の授業料が15万円以上の家庭は45%にも上り、中には30万円以上を投じている家庭もあります。