世界のコーヒー会社が、中国で熾烈な豆争奪戦
あなたがオフィスや家庭、外出先で飲むコーヒーは、ひょっとしたら中国・雲南省産のコーヒー豆から作ったものかもしれない。すでに雲南はアジアで最も大きく、最も高品質な小粒種コーヒー産地となっている。その中でも最大の生産地が、世界的にお茶の産地で有名なプーアル市だ。
昨年11月12日、この地に飛んできたのはスターバックス社のハワード・シュルツCEO。同社は雲南省農業科学院、プーアル市政府との間で、コーヒー産業の発展を推進する協力覚書に調印した。雲南に原料供給基地を設立するというのが趣旨。そのときは珍しく、シュルツ氏自らがビジネス計画を披露した。これは雲南を戦略的に重視している何よりの証拠だろう。
だが、その9日後にはコーヒー企業の巨人、ネスレ社もプーアル市政府と協力覚書に調印した。双方は雲南でコーヒー生産に必要な人材を育成し、技術開発をしてブランドを打ち立てるなど、多方面で協力することを約束した。実は、このネスレこそ雲南をコーヒー産地としたパイオニアといえる。
「一昨年、弊社がプーアル市で調達したコーヒーは8000トン程度だが、今後数年で倍増するだろう」
ネスレ(中国)有限公司・グレートチャイナCEOのローランド・デコルベット氏は、『中国経済周刊』の記者にそう語った。
ネスレ社は、1988年に雲南省でコーヒーの実験栽培に入り、その後すぐに雲南でのコーヒー作りを正式に決定した。この20年で同社は5000万元を投資し、5100人以上の研修生を受け入れた。