芝浦工業大学、なぜ改革で高評価?地道でも着実「全学で教職員を育てる」仕組み 「FD・SD」プログラムを学外に開放するメリット

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学生の将来の目標達成を支援するアカデミック・アドバイジング入門ワークショップや、大学が持つ知的財産を管理・活用する知財マネジメント、学修歴のデジタル化の研修などには多くの大学職員も参加する。

2022年の大学設置基準で義務化された職員の職能開発、スタッフ・ディベロップメント(以下、SD)も担っているというわけだ。プログラムのテーマによっては、参加者の9割が学外の教職員になることもあるという。

榊原氏は「FDに高い関心を持つ学外からの参加者とネットワークを構築し、情報交換して新たな視点を得ることで、本学のFDの取り組みが充実する」と話す。また、これとは別に、学内限定で障害のある学生やメンタルヘルスに問題を抱える学生への対応など独自のプログラムも実施しているという。

FDプログラムの開発は、参考にできる前例のモデルがない状態から始めることも多い。コーチング技能入門ワークショップは、榊原氏が、学内に五輪ショートトラック・スピードスケート種目のトレーナー経験者を探し当て、話し合いを重ねながら一から作り上げたものだ。

ただ、共同利用拠点では研修プログラムが柱となってはいるものの、「『FD=研修・講演会』ではない」と榊原氏は強調する。「カリキュラムの改善について同僚教員同士で相談し合ったり、教員採用選考で教育能力も考慮したり、といった地道な取り組みの積み重ねが重要です。FDは研修などより、もっと幅広い取り組みになるはずです」。

教育イノベーション推進センターも、カリキュラム見直しを促すため、現行のカリキュラムがディプロマ・ポリシー(学位授与方針)や、学生が身につけるべき能力を定めた学修到達目標をきちんとカバーしているか、といったカリキュラムとの整合性について、教員に確認を促して、改善を後押ししている。

「各教員の自発的な取り組みを含めたFD活動は、大学の社会的な評価につながる機関別認証評価(外部の第三者機関による大学の認証評価制度)に適合するうえでも非常に重要になります。地道な改革の取り組みは、文科省『私立大学等改革総合支援事業』の『特色ある教育の展開』『特色ある高度な研究の展開』『地域社会の発展への貢献』『社会実装の推進』の4タイプすべてで、本学が12年連続で選定されることにもつながっていると思います」(榊原氏)

2024年「私立大学等改革総合支援事業」の申請は535校(短大・高専含む)あり、そのうち225校が選定された。だが、4タイプすべてに選定された大学は、芝浦工業大学、金沢工業大学、東京都市大学、帝京大学、東京電機大学、藤田医科大学、龍谷大学の7大学のみだった。

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