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ミッションは何か?多額のコストに見合う「大学のDX」進めるのに必要な視点 学生一人ひとりの成長を最大化するために

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  • 倉部 史記 進路指導アドバイザー、追手門学院大学 客員教授
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一方、研究分野のDXはどうでしょうか。周囲の研究者に聞いてみたところ「研究活動を取り巻く膨大な事務作業をDXで合理化・自動化してほしい」といった意見がいくつか寄せられました。

補助金や助成金などの情報収集や申請、共用設備の管理、研究成果の発信など、確かに効率化できることは多々ありそうです。学生と研究室のマッチングを図る仕組みやオープンイノベーション推進のためのシステム構築など、さまざまな要望が今後、研究者から上がってくるのではと思います。

組織運営においても、議論や意思決定のプロセスを効率化する、さまざまな事業の進捗状況や成果を可視化する、予算や労力の配分を見直す……などDXを推進する余地は多いでしょう。ルーティンワークを自動化するなどの取り組みもよいのですが、「業務全体を再構築することで、もともとあったタスク自体を不要にしてしまう」というレベルの施策が求められているように思います。

今後、18歳は減少の一途をたどります。各大学が抱える学生数は現在より少なくなるかもしれませんが、大学教職員に求められる業務のレベルは高くなります。少ない予算と教職員数で、現在以上の教育研究や学生支援を行う必要も出てくるでしょう。DXの推進は不可欠です。

DXを生かせるかどうかは、その大学次第

冷静に考えるべき点もあります。DXの推進には初期投資として多額のコストがかかります。大規模な大学であれば相応の投資も可能でしょうが、小さな単科大学や短大にとっては大きな負担でしょう。

学生数が1万人を超えるような総合大学と1000〜2000人程度の小規模な大学とでは、DXにかけられる費用も、望む成果も違って当然。自学にとって必要なDXがどのようなものであるかは、当事者の間で十分に検討されたほうがよいと思います。

組織の状況に合わない大がかりなシステムを入れても、思った通りに活用できるとは限りません。企業の提供するシステムで成果を上げられるかどうかは教職員や経営陣次第。デジタル化することが重要なのではなく、教育や研究のあり方を変革することが重要です。その点でDX化の挑戦は、組織改革を進める契機にできるかもしれません。

2006年頃、アメリカの大学の「教学IR」と呼ばれる部門で働く方から、以下のような話を聞きました。

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