タイで復活、日本の「元ブルートレイン」現在の姿 国際列車として再び走り始めた彼らに乗る旅

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はやる気持ちを抑え、車内へ。ベッドの表地は青いモケットから赤いビニールレザーに張り替えられているが、全体的な雰囲気は変わらない。

窓の脇には折り畳み式のハシゴと、栓抜きがついたテーブル。「フタのカドをひっかけて ビンを上へこじる」と書かれたプレートもそのままだ。タイ国鉄では列車内の飲酒は禁じられているが、駅の売店では瓶入りの炭酸飲料などが売られているので、筆者も1本購入。さっそく“開栓の儀”としゃれこんだ。

タイ 元ブルートレイン 栓抜き
日本時代と変わらぬテーブル。栓抜きの表示もそのまま(撮影:伊原薫)
【写真の続き】ベッドに用意されていたリネン類、「B寝台」の文字がそのまま残る扉。日本時代の雰囲気がそのまま、「元ブルートレイン」の車内の様子は?

思わず目が潤んだ

改めて車内を見渡す。ベッドにはマットレスと真っ白なシーツが既にセッティングされており、袋に入ったクリーニング済みの掛布団も置かれている。壁際に追設された電源コンセントが、旅行者には非常にありがたい。枕元の照明(LED式のものに交換されている)がところどころ壊れているのはご愛嬌といったところか。

定刻に発車した列車は、やがて市街地を抜け、夜も更けた草原をひたすら北上する。通路にある収納式のベンチに腰掛け、窓枠に飲み物を置いてしばし車窓を眺めた。このふわふわした揺れ、少しこもったジョイント音、そして薄暗い照明……日本では10年前に消えてしまった、ブルートレインの雰囲気。久しぶりに味わうその感覚に、思わず目が潤んだ。

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