Jリーグに迫る中国資本 「買収提案」が相次ぐ背景 "10億円を出してもいい"という話も
日本のサッカー界もヨーロッパのようになるのか。
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中国の政治・経済状況が悪化する中、中国人富裕層の日本への移住が目立ち始めた。「潤日(ルンリィー)」と呼ばれる現象だ。
彼らは日本経済へ熱視線を注いでおり、とくに不動産、教育、医療、ゲームといった非コア産業を中心に投資機会を探る動きが本格化している。近年は、中国資本がJリーグのクラブチーム買収を試みるケースも相次ぐようになった。どのような背景があるのだろうか。
「中国の某コングロマリットが、あるJ2のチームを買おうとして仮契約まで進みました。2022年には、在日中国人の企業がJリーグのチームを買おうとする動きもありました」とJリーグに近い関係者は語る。「中国人選手を入団させて育てたり、ヨーロッパに移籍させて儲けたりしたいという発想のようです」。
大宮アルディージャをレッドブルが買収
これとは別に、筆者の知人でコロナ禍の中で移住してきた「潤日」の1人も、ある東日本のJリーグチームを買収すべく、そのチームの本拠地での事業活動を活発化させている。
Jリーグは2020年に外国資本によるクラブチームの所有を解禁した。2024年9月にNTT東日本が、大宮アルディージャ(現RB大宮アルディージャ、J2)の運営会社の全株式と運営権をオーストリアの飲料メーカー、レッドブルに譲渡したのは記憶に新しい。買収額は3億円だった。
そんな中、実際に複数の中国企業から買収の提案を受けたのが、横浜市に拠点を置き、40年近くの歴史を誇るY.S.C.C.(2024年シーズンまでJ3、来シーズンは4部リーグに相当するJFLに降格)だ。同市を本拠地とするプロスポーツチームは、同じサッカーで横浜Fマリノス、横浜FC、野球では横浜DeNAベイスターズと数が多い。こうした競争環境もあり、Y.S.C.C.の経営は厳しい状況が続いている。
Y.S.C.C.の吉野次郎理事長は、2022年以降に中国企業や中国人企業家からの買収提案が3件あったと明かす。「3億円くらいで話を持ちかけられることもありました。それくらい出せる富裕層はたくさんいらっしゃると思います。富裕層の方々にとって3億円は大きなインパクトがある金額ではないようで、買収しやすいと思われているのかもしれません」。その3件の中には、天然芝のグラウンドを作るために10億円を出してもいいという話もあったそうだ。
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