ところでメローニ首相は、イタリアをEUのエネルギーハブに押し上げようという構想を打ち上げている。首都ローマで1月28日〜29日にかけて開催したイタリア・アフリカ首脳会議の場でメローニ首相は、EUとアフリカ連合(AU)の代表を前に、イタリアをアフリカからのエネルギー輸入の拠点に押し上げるとする構想を発表した。
イタリアがぶち上げた「マッティ計画」とは?
この構想は、アフリカのエネルギーのみならず、教育や公衆衛生など社会基盤の開発も支援することで、EUへの不法移民の流入を防ぐことを狙う包括的なものだ。うちエネルギー開発に関しては、イタリア最大のエネルギー会社であるエニが主要な役割を担う。そのため、エニの創業者エンリコ・マッティにちなみ、マッティ計画と名付けられている。
イタリアは、地中海を隔てて対岸にあるアルジェリアから、隣国チュニジアを経由するパイプラインを通じて、天然ガスの供給を受けている。こうした経緯からイタリアはアルジェリアとの経済関係を強化しているが、同国とのみならず、広くAU各国の開発を支援し、イタリアをアフリカからのエネルギー輸入のハブにしようというわけだ。
とはいえ、EUの中でも特に財政状況が悪いイタリアに、アフリカ諸国を支援するだけの余裕などあるわけがない。それに財政再建の流れはイタリアのみならず、EU各国に共通する問題である。メローニ首相は民間の投資家のマッティ計画への積極的な参加を呼び掛けるが、その構想の壮大さゆえに、民間の投資家は及び腰となること必至である。
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