他方でメローニ首相は、中国との関係も重視している。例えば昨年7月、メローニ首相は就任後初めて訪中し、習近平国家主席と会談を行っている。その半年前にイタリアは「一帯一路」構想から離脱したばかりだったが、メローニ首相は、2国間の枠組みでの中国との経済関係の強化にはあくまで前向きである姿勢を強調している。
中国企業へトップセールス
メローニ首相は中国企業に対してもトップセールスを仕掛けている。自動車大手ステランティスがイタリア国内での生産を減らそうとしていることを踏まえて、メローニ首相は世界最大のEVメーカーとなった中国の比亜迪(BYD)に接近し、イタリア国内へ投資をしてEVの生産を行うよう呼びかけたことは有名な話だ。
ゆえにメローニ首相は、一貫して中国を刺激するような欧州委員会のスタンスを批判してきた。EUは昨年10月から中国製のEVに対して最大で35%の追加関税を課しているが、この決定に関しても、最終的には賛成に回ったが、メローニ首相は当初、強く反対していたようだ。当然、欧州委員会が主導する「対中デリスキング」についても慎重な姿勢だった。
つまりメローニ首相は、アメリカ・中国双方と、独自のバランス外交を志向しているわけだ。メローニ首相の姿勢からは、得るものは得るという外交上のプラグマティズムを感じる。マクロン大統領やフォンデアライエン委員長の下で政治的な理念を先行させてきたEUは、目下、強烈な逆風に晒されているが、そうした中で、メローニ首相の姿勢は異彩を放つ。
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