5月上旬に発足したマジャル・ペーテル新首相率いる中道「尊重と自由の党(Tisza=ティサ)」政権の最大の強みは、1院制の議会で、過半数ではなくスーパーマジョリティ(圧倒的多数)を得たことである。これにより、基本法(憲法)などの重要法を単独で修正することができる。つまりティサ政権は、オルバーン前政権による16年の長期政権で「後退した」と批判される法制度を一気に立て直す勢力を得たことになる。
同時に、ティサに属する141人の国会議員は全員が初当選者である。言い換えれば、ハンガリーのかじ取りは政治未経験者が担うということだ。ただし、このことは想定外ではなく、意図されたものだった。
マジャル氏は当初から単なる「政権交代」ではなく、過去の腐敗体制との決別を図る「体制転換」を掲げてきた。そのため候補者選定の段階で現職の国会議員や国有企業の幹部経験者は排除した。重要視したのが専門分野における知見だ。閣僚も、全員が大臣未経験者だが、各分野では実績を持つ民間出身者で占められる。
ティサ政権が体制転換のために現在、内政で最も力を入れているのが、過去の不正追及と国家資産の回収、そして利権を蔓延らせた前政権型構造を二度と生まないための制度改革だ。党が掲げる「正常に機能し、人間味ある国家」を実現するためには、まず旧体制の土壌そのものを浄化しなければならないという考えである。
政権発足後、各省では前政権時代の契約や事業の洗い直しが進められている。これはオルバーン前政権の利権・汚職システムを根こそぎ解体するための国家大改革プロジェクトで、マジャル氏は6月、国会演説で一連の取り組みを「煉獄(れんごく)の炎作戦」と呼称した。
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