大学入試で優位な面も、授業料無償化で人気低迷の「都立高」知られざる魅力 私立単願に落とし穴、「指定校推薦枠」にも注目

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続々と誕生する「新しい価値観」の都立高校

新しい高校も誕生している。その一例が、今春開校する都立立川緑高校だ。同校は、不登校経験のある生徒も積極的に受け入れている「チャレンジスクール」の1つ。「私らしく学べる」をテーマに掲げ、令和時代の価値観を反映した高校として注目を集めている。同校の特徴は以下のとおりである。

●リフレッシュルームや相談ブースが充実した新校舎
●昼からの登校が可能
●制服のない自主性尊重の校風
●1クラス30人以下の少人数制
●専門支援員によるサポート
●学校外の活動も単位認定
●3系列+教養の選択科目で時間割を自由に設計可能

 

こうした柔軟な仕組みが可能なチャレンジスクールは、最新の東京都中学校長会による志望率調査でも高い人気を集めている。

東京都では、今後も新しいタイプの高校が誕生する予定だ。世田谷区にチャレンジスクールが整備され、港区白金に理系の海外大学進学を視野に入れた新たな国際高校が設立される計画が進行中だ。潤沢な財政を背景に、都立高校は時代に即した変化を遂げている。

確かに、都立高校は私立高校と比べて校舎設備で劣る場合があるし、進学するには2月まで勉強を継続しなければならない苦しさも伴う。

しかし、ここまで述べてきたように、大学進学面ではむしろ都立高校のほうが優位性があると感じることが増えてきた。また、15歳の時点で専門性を重視した独自の強みを持つ高校の選択肢が数多く存在する。

費用の実態にも注目したい。私立高校は授業料無償化の恩恵があっても施設費や寄付金などが高額で、3年間で150万円程度の負担はザラ。一方、都立高校は、授業料無償化の適用も踏まえると3年間では30万~40万円の負担で済む。その差額は100万円単位に上り、都立高校の費用面のメリットは依然として健在と言える。

中学受験か、高校受験か。私立高校か、都立高校か。この選択は常に議論の的だ。中でも高校受験からの都立高校ルートは、無知や誤解による議論が散見される。

しかし、現場の塾講師の視点から見ると、都立高校ルートはむしろ東京都の潤沢な財政基盤に支えられた、都民が第一に考えるべき合理的な選択肢と言える。教育費の負担軽減や多様な進路を提供する都立高校の強みを、改めて見直すべきではないだろうか。

(注記のない写真:すとらいぷ/PIXTA)

執筆:高校受験塾講師 東田高志
東洋経済education × ICT編集部

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