なぜ「マレーシアの大学」進学が人気?納得の要因3つ、円安だけではない魅力 世界大学ランキングで躍進、アジアが選択肢に
こうした経験が、高校生にとってアジアに親近感と同時に関心を持つきっかけとなり、やがては大学の進学へとつながっていくのだと考えられます。
シンガポールは、国策として優秀な人材の囲い込みのために、学費以外にも生活費を含めた高額な奨学金で日本人生徒を獲得しようとしています。一方、マレーシアは欧米の大学にはないアジアの多様性豊かな学生構成があり、なおかつ英語で学べるコースが多く選択肢も豊富です。
また学校側も世界の魅力ある大学との接点を深めています。
2015年からマレーシアの大学への進学指導を始めている大阪府・寝屋川市にある香里ヌヴェール学院中学校・高等学校の池田靖章学校長は「本校からマレーシア、台湾、韓国など多くのアジア圏の大学に進学をしています。授業料などの経済的な負担を軽減できることや、第2言語として英語で授業を受けられるのが理由として挙げられます。英語がそこまで得意ではないけど、チャレンジしてみたい人からすると、かなり難易度が下げられます」。また人種差別も少なく、日本人生徒にとって学びやすい環境と指摘します。

(写真:香里ヌヴェール学院中学校・高等学校提供)
マレーシアは、大学の国際化を進めるとともに移住者を積極的に受け入れてきました。イギリスのマルボロカレッジ、エプソムカレッジなどを誘致し、教育移住する方も増えています。
また、多くの国は、インターナショナルスクールに通うことを義務教育違反としているが、マレーシアは、規制緩和をして国民がインターナショナルスクールに通うことも認めています。インターナショナルスクール卒業生が大学に志願してくるケースも増えており、マレーシアの大学の学生の外国人比率がさらに高まっていくと考えられます。
世界で優秀な人材の囲い込みが始まっている
イギリスでは、世界大学ランキングの上位の卒業生に就労のためのビザ取得などで緩和措置を出しています。アメリカも、アメリカの大学を卒業するとグリーンカードが取得しやすいように制度変更を検討しており、世界レベルで優秀な人材の囲い込みが始まっています。
従来の国内大学に進学し、新卒として就職する主流に対し、海外大学に進学する国際ルートは、これまでアメリカ、イギリスが中心でした。
国内大学では、大学の専攻を英語で学びたい場合、専攻が狭まってしまいます。一方、アメリカやイギリスなどの欧米の大学では、授業料や志願時の英語力などハードルが高いこともあって、第3の選択肢としてアジアの大学が人気になってきました。
国内大学と比べ、アジアの大学は英語で学べて、学費と生活費を合わせてもトータルコストが欧米大学に通うよりも安く済みます。卒業後の就職面でも、大企業の売上の半分がアジアになる時代において、アジアの多様性に強い学生は人気になっています。

国内、欧米の間にあるアジアの大学が、新たな潮目として世界トップの頭脳を引き込もうとしています。
(注記のない写真:jessie / PIXTA)
執筆:インターナショナルスクールタイムズ 編集長 村田学
東洋経済education × ICT編集部
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