なぜ「マレーシアの大学」進学が人気?納得の要因3つ、円安だけではない魅力 世界大学ランキングで躍進、アジアが選択肢に
マレーシアの大学は、国立と私立があり、国立マラヤ大学の外国人向けの授業料は、年間約150万円。寮費や生活費込みで、250万円あれば十分に暮らせます。またマレーシアは、マレー系、中国系、インド系の方が住んでおり、多様な民族が暮らしています。
アジアの多様な民族と英語で学ぶ大学生活を送った人材は、企業からするとアジア地域の即戦力です。就職活動でも学生時代に力を入れたこと、いわゆる「ガクチカ」を語るのにも、アジアの大学で学んだ経験は有利に働きます。
またアジアには、今後も成長が見込まれる国が多くあります。日本では人口減少が進んでいて経済成長率も年2%程度ですが、アジアには人口増加が続いている国が多くあってマレーシアやインドネシア、ベトナムなどの国々は、2050年までに年率5%以上の経済成長が今後数十年続くと予想されています。すなわち、伸びしろが違います。
中でも、マレーシアは成長著しいアジアの中心に位置し、東南アジアのハブであるシンガポールにも飛行機で1時間と近く、利便性の高い場所にあります。こうした活気あふれる場所で大学の4年間を過ごすのは、人生においてもかけがえのない経験となるはずです。
学生時代の友人関係は、人生における人脈の土台です。学生時代を経済と人口の伸びしろが見込まれるアジアで送ることは、戦略的な人脈作りにもなります。
高校で行っている海外研修もアジアが選択肢に
次に、高校で実施されている海外研修の多様化の影響もあります。従来、アメリカ、イギリス、カナダなど英語圏が中心だった海外研修が、今や多様化しておりマレーシア、ベトナム、インドなどが人気になっています。
もちろん、円安の影響もあるかもしれませんが、近年の高校の修学旅行も「探究学習」を軸にしており、新興国の経済発展と格差や持続可能性などを体験するプログラムが人気です。
背景には、大学入試で総合選抜型が中心になり、生徒が学ぶ目的とキャリアを含めた志望理由が重視されていることが挙げられます。高校側は、早期から生徒の学びたい内容と進学先がうまくマッチングするように海外研修をマインドセットと興味、関心の掘り下げの場として活用しているのです。
東京都世田谷区にある私立の昭和⼥⼦⼤学附属昭和中学校・昭和⾼等学校のグローバル留学コースでは、アメリカやカナダ留学に加えて「アジアディスカバリー」という海外研修を実施しています。自己発見プログラムとして、マレーシアとシンガポールを訪問するのですが、同校の真下峯子校長は次のように語ります。
「現在、グローバル留学コースの中3の生徒が『アジアディスカバリー』でシンガポールに3日、マレーシアで1日を過ごします。シンガポールでは現地企業や南洋理工大を訪問し、企業と大学で最先端の研究を体験します。マレーシアでは現地の小学校を訪問し、地域研究を実施しています。多様な文化を理解して受け入れ、いろいろな文化を持つ人々と共に生きることができるようなグローバルマインドを作るには、自分たちが生きるアジアの人々のマインドや文化、生活を知ることが出発点だと考えました」

(写真:昭和⼥⼦⼤学附属昭和中学校・昭和⾼等学校提供)
一方、奈良県にある西大和学園中学校・高等学校は、高1の海外探究プログラムとしてインド、ベトナム・カンボジア、シンガポール・マレーシアの3コースのうち1コースを選択して訪れることを必須としています。ほかにも、非英語圏に行って、感じ、考えさせ、行動することに重きを置く学校は増えています。