なぜ「マレーシアの大学」進学が人気?納得の要因3つ、円安だけではない魅力 世界大学ランキングで躍進、アジアが選択肢に
世界大学ランキングは、アメリカとイギリスが上位を独占していた時代から1990年代以降、アジアなどの経済成長と大学教育の充実によりアメリカ、イギリス、ヨーロッパに加えて、アジアの大学も多くランクインするようになっています。
大学ランキングはよし悪しあれど、世界中に広がりランキングが拡散されます。昭和・平成生まれの世代の方には、東京大学こそがアジアトップの大学という認識を持つ方が今も多いですが、現在の中高生にとってのアジアトップ大学は、シンガポールや中国、香港の大学です。
2010年、2020年、2025年の世界大学ランキングにおけるトップ50を比較するとアジアの大学の台頭ぶりがよくわかります。
マレーシアの大学が躍進している
最近、世界大学ランキングではマレーシア、インド、台湾、サウジアラビアなどの大学の追い上げが目覚ましいのですが、中国・香港・シンガポール以外のアジアで200位以内に大学をランクインさせているのがマレーシアです。
60位の国立マラヤ大学を筆頭に、138位にマレーシア国民大学、146位にマレーシア科学大学、148位にマレーシアプトラ大学、181位にマレーシア工科大学と200位以内に5大学が入り、層の厚さを見せています。ちなみに日本の早稲田大学は181位、慶応大学は188位です。

マレーシアは、国内大学を強化するとともに海外大学の分校を誘致しています。旧イギリス領のためマレーシアの教育課程は、イギリス式教育課程と互換性が高く、1998年以降、イギリス、オーストラリアの大学分校を誘致しています。
海外大学の分校の誘致の背景には、マレーシアの国立大学がマレー人を優遇し中華系、インド系の学生が海外に進学して留学赤字が拡大したこともあり、国内に海外大学分校を整備してきたという経緯があります。日本からは筑波大学マレーシア校が2024年9月に開校しました。
<イギリス>
ノッティンガム大学マレーシア校
サウサンプトン大学マレーシア校
ニューカッスル大学(医学部)マレーシア校
レディング大学マレーシア校
<オーストラリア>
モナシュ大学マレーシア校
ヘリオット・ワット大学マレーシア校
スウィンバーン工科大学サラワク校
<中国>
厦門大学マレーシア校
<日本>
筑波大学マレーシア校
こうした海外大学分校も含めて、マレーシアの大学が日本人の高校生の有力な進学先の1つになってきていますが、なぜ人気になっているのでしょうか。
その背景を探ると、「英語で学べるコスパとガクチカ」「海外研修による接点」「アジアの魅力」という3つの要因があります。
まず「英語で学べるコスパとガクチカ」ですが、世界大学ランキングの上位にあるマレーシアの大学の多くは、英語で学べるコースや環境を用意しています。アメリカの名門アイビーリーグでは平均年間1400万円ほど、イギリスの大学では300万〜800万円ほどと学費が高騰しており、英語で学べるマレーシア、インドなどの競争力が高まっています。