注目されるのはメモリ分野である。メモリ分野の王者であるサムスン電子が2035年にはトップから陥落し、マイクロンにも売上を抜かれているかもしれない。
トップの優位性を失うサムスン電子
サムスン電子では3nm/2nmノードロジック開発時から始まった混乱が続く。AI向けで需要増が続くHBM(広帯域幅メモリ)開発でも遅れた技術的な差を縮めることができていない。
しかも、優秀なエンジニアをHBM開発に集中させたため、汎用DRAM/NANDメモリの開発スピードにも影響が出ており、トップシェアだからこそ可能だった価格コントロールの優位性を失っている恐れがある。
それに対して、SKハイニックスは依然としてHBM開発のトップを走っている。そこで得た大きな利益をプロセス開発・工場拡張に投資し続けることでメモリ分野トップの足場を固めているだろう。マイクロンもアメリカ・東広島・台湾・シンガポールの各製造拠点から優秀なエンジニアをHQ開発に集結させることで2位の地位を確保している可能性がある。
キオクシアはNAND一本足からの脱却を図るが、脆弱な資本によりたびたび訪れる市場の荒波に揉まれ続けるだろう。ただ、OCTRAM(酸化物半導体を使用したDRAM)の量産にメドが立ち、長年の連れ合いであるサンディスク(ウエスタンデジタル)とも悲願の経営統合を果たすことで総合メモリメーカーとして勝負できる体制が整っているはずだ。
誰もが気になる低迷を続ける王者・インテルはどうなるか。頼みのIntel 18Aが2027年後半にようやく量産が完全に立ち上がり、続くIntel 14Aは2030年に立ち上がってプロセス製造技術がようやくTSMCに横並びすることができるだろう。一度は売上高を抜かれたAMDを抜き返しx86ビジネスのトップを維持している。ただし、後述するファウンドリービジネスでは苦戦が続きそうだ。
図2は半導体製造に特化したファウンドリーのランキングだ。2024年は第2四半期のみのランキングであるが、2035年は年間売上であることに留意してほしい。
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