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被買収企業が「貝沼にこそ買われたい」と望む真因 ミネベアミツミCEO・貝沼由久氏の軌跡【後編】
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M&Aを積極的に駆使し、精密・電子部品メーカーのミネベアミツミの売上高を社長就任当初から約6倍に拡大させ、1兆円企業へと導いた貝沼由久会長CEO。「ひと烈風録」では、日米で弁護士資格を持つ同氏の経営者としての軌跡をたどり、「異端」と評される思考の原点に迫った。
※ひと烈風録/貝沼由久【前編】はこちら
ほかにも貝沼は、高橋に数え切れないほど怒られた。ただ、後になって振り返ると、そのすべてが何かヒント――部品メーカーを率いるための「すべ」を示唆していた。知らず知らずのうちに、義父の経営哲学や独創的な戦略眼が、血肉として取り込まれた。遠回しな帝王学の授け方は、高橋なりの愛情と期待の表出だったのだろう。
もう1つは、法曹時代に培ったリーガルマインドだ。貝沼は「弁護士と経営の仕事は似ている」と指摘する。前者は依頼人、後者は株主のために働く。それぞれの権利を守り、利益を最大化させることを最大の目的とするからだ。
法学の世界では、まず「総論」の理解が求められる。例えば刑法であれば、なぜ罪を犯した人に罰を与えるのか。その本質的な論理を体系立てて捉えたうえで、個別の犯罪にどう対処すべきか、という「各論」を学ぶ。
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