ベアリングやモーターなどを手がける、精密部品大手のミネベアミツミ。多様な製品群を擁することから「部品のユニクロ」ともたとえられる。貝沼由久会長兼CEOが舵取りを始めた15年前と比べて、直近の売上高は5.5倍、時価総額は約8倍となった。長らく停滞していた業績を、どのように成長軌道へ乗せたのか。日米で弁護士資格を持つ、異色の経営者の戦略に迫る。
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放し飼いの牛が何頭も闊歩し、道路脇の原っぱで自由に草を食む。カンボジアの首都プノンペンから車で北西に3時間ほど走ると、そんな風景が延々と広がるプルサット州に着く。日本発の直行便もない国、その僻地とも呼べる地域に9月20日、ライトグレーのスーツに身を包んだ貝沼由久会長兼CEOが姿を現わした。
貝沼氏は野原の一角に設けられた仮設テント――ミネベアミツミのコーポレートロゴと同じ青や赤で派手に彩られた幕の中で、顔中からしたたる汗を時折ぬぐいながら、高らかにこう宣言した。
「われわれは次の10年の発展の基礎となります製造拠点として、カンボジア王国のここ、プルサットを選択しました。この地を、精密機械加工品の一大供給地としてまいりたいと考えております」
あえて不便な場所を選ぶ
灼熱の太陽が照りつけたこの日は、同社にとってカンボジアで2カ所目となる新工場の起工式だった。会場となった建設予定地は約50万㎡(東京ドーム約11個分)、投資額は約320億円。車のエンジンに搭載される燃料噴射装置など、高収益な機械加工部品の生産を2026年度中に始める予定だ。
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