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「ユニクロとまったく同じ」ミネベア流の経営哲学 "東のM&A巧者"が喝破「成長にゴールはない」

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約30件のM&Aを成功させてきたミネベアミツミの貝沼氏(撮影:佐々木仁)

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西の永守と東の貝沼――。京都のモーター世界大手・ニデックの永守重信代表と、東京の極小ベアリング世界大手・ミネベアミツミの貝沼由久会長兼CEO。両者は果敢なM&Aを軸に自社を成長させた点で重なり、そう並び称される。創業者である永守氏に対し、「元祖買収王」と呼ばれた故高橋高見氏の娘婿にあたる貝沼氏は、元弁護士という異色のバックグラウンドを持つ。旧ミネベア(現ミネベアミツミ)の経営トップに就いて15年、2024年度の売上高は就任時の約6倍に達する見込みだ。東のM&A巧者に、成長の極意や経営哲学を聞いた。

多角化はDNA

――ミネベアミツミは8分野をコア事業としています。すべてをコントロールするのは大変ではないですか。

そういう話になるのは、なぜかといつも思う。ユニクロを知っているでしょう。昔はフリース屋さんだったのが、今は下着や靴下、コートまである。でもフリースだけを売れと言う人がいるのか。いないでしょ。

ユニクロで全部買えば、割安で品質の高いコーディネートが出来上がる。われわれは高級な製品を作るための各種パーツを扱っている。それがベアリングであり、モーター、半導体など。やっていることは、まったく同じだ。

多角化の発想は、義父・高橋高見会長(1989年没)の時代からある。当時、祖業の軸受けは将来なくなるかもしれないと真剣に議論されていた。それでモーターとか、いろんなことをやり始めた。当社のDNAとして植え付けられているのだと思う。

――コングロマリット・ディスカウント(複合企業の価値が、各事業の企業価値の合計を下回る状態)を指摘する投資家もいます。

リスクマネジメントの究極の姿が多角化だ。株式市場には、それが伝わらない。私はソニーグループをすごいと思う。銀行や保険会社まで始めて、グループで営業利益1兆円を超えている。

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