2024年ベスト経済書、2位と3位はこの書籍だ! 賃金と日本経済に関する書籍がランクイン

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『日本経済の故障箇所』(日本評論社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
脇田 成(わきた・しげる)/1961年生まれ。東京都立大学経済経営学部教授。博士(経済学)。著書に『マクロ経済学のパースペクティブ』など

金融緩和は成長には寄与していない

長期停滞に陥った日本経済。「人口減少」と「技術革新」によって、問題はより複雑になった。停滞から脱出するには何が必要なのか。基礎的なデータを用いて現状を確認し、処方箋を示す。

▼著者に聞く 

多くの一般読者が首をひねる内容だろう。私は本書で、「企業の貯蓄は政府と海外に流れている」「生産性以下の賃金が長期停滞を招いた」「金融緩和は企業の運転資金を潤沢にしただけで設備投資や成長には寄与していない」などの主張をしている。大新聞や政府の考え方とはまったく違う。この著者は少しおかしいのではないか、と思われるかもしれない。しかし、公表データをグラフにプロットすれば、そう解釈するしかない。

エコノミストによるマクロ経済リポートの多くは、「海外の影響によって日本のマクロ経済が変動する」前提で書かれている。これは正しい。ところが経済学者や日銀による数式まじりの難解な論文は米国の手法をそのまま日本に当てはめることで、システマチックに誤っている。誤った分析を基に正しい政策を打つことはできない。これは「人災」だろう。

▼推薦コメント

「内部留保」と「賃金」をキーワードに、長期停滞からなかなか抜け出すことができない日本経済の現状を、独自の視点から軽妙な筆致で描いている。数多くの図表を眺めるだけでも、日本経済の来し方行く末に思いを巡らすことができる。(中里 透)

近年の官製春闘に至るまで労働者への利益還元は不十分だった。金融危機の後始末もデフレ脱却のための超金融緩和も家計へのシワ寄せで成立していたと考えられる。豊かな消費社会の実現を目指すうえで何が必要なのか、頭の整理になる書籍である。(南 武志)

山本 舞衣 『週刊東洋経済』編集者

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やまもと まい / Mai Yamamoto

2008年早稲田大学商学部卒業、東洋経済新報社入社。データ編集、書籍編集、書店営業・プロモーション、育休を経て、2020年4月『週刊東洋経済』編集部に。「経済学者が読み解く現代社会のリアル」や書評の編集などを担当。

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