2024年1月。異次元緩和の終結を目指す日銀を悩ませたのが、メディア対策だった。金融政策決定会合が近づくたびに事前報道が過熱し、国会で「意図的にリークしたのではないか」と追及されていた。対応を迫られた日銀副総裁の内田眞一は、次の政策変更の概要を事前に公表するという驚きの手を思いつく。手の内をさらしてしまえばスクープ合戦を止められる、という読みである。
内田は2月8日に奈良市での講演を予定していた。通常、正副総裁の講演原稿は、企画局政策企画課が原案を書き、局長や理事のチェックを経て本人に渡されるが、内田は現場に任せず、自ら筆を執ることにした。数日後、内田から原稿を見せられた部下は「ここまで話すのか」と驚いたという。
いきなり政策修正に言及 具体像についても披露
注目の奈良講演で、内田はいつものように内外の経済情勢と賃金・物価見通しを説明した後、いきなり政策修正の可能性に言及し、出席者を驚かせる。
「2%目標の持続的・安定的な実現が見通せるようになれば、大規模な金融緩和は役割を果たしたことになり、その修正を検討することになると考えています」
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