未踏の野を過ぎて 渡辺京二著

未踏の野を過ぎて 渡辺京二著

『逝きし世の面影』や『黒船前夜』の著者によるエッセー集。書名でもある熊本日日新聞への連載は、どの回も世相風潮を批判し世直しに貢献したいという心情が通底している。不況と経済成長への根源的疑問、世代を超えたしゃべり方(「あげる」の乱用、語尾のはね上げなど)への嫌悪、街路樹剪定から樹木についての思い、反秩序主義批判など。ささいな現象のようでいてどれも時代の貧困を突いて、納得するところが多い。

一方、「前近代は不幸だったか」とするエッセー数編では死、身分制、家業と街並みなど、捨て去られた制度や慣習、考え方に貴重な意味があったと鋭く問題提起している。巻頭の「無常こそわが友」では、大震災に対してメディアや人々が、幕末以来の国難だとか日本は立ち直れるのか、と大騒ぎするのは理解に苦しんだとし、今回の災害ごときで動顛してご先祖様に顔向けできるかと問うている。確かに「万事は今後にかかっている」のだろう。(純)

弦書房 2100円

  

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 本当に強い大学
  • ほしいのは「つかれない家族」
  • 北朝鮮ニュース
  • 就職四季報プラスワン
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
『会社四季報』新春号を先取り!<br>波乱相場にも強い大健闘企業

企業業績の拡大に急ブレーキがかかっている。世界景気の減速や原燃料費・人件費の高騰が重荷だ。そうした逆風下での大健闘企業は? 東洋経済最新予想を基に、上方修正、最高益更新、連続増収増益など6ランキングで有望企業を一挙紹介。