共学校よりなぜか「医学部進学」に強くなる、女子校独自の数理教育は何が違う? 医学部医学科現役合格率ランキングで見る強み

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古今東西、わが子に医師を志してほしいと願う保護者は多い。しかし、6年前に発覚した「医学部入試の女子差別問題」を鮮明に記憶している人もいるのではないだろうか。医学部を受験するのは男性がメインだというイメージを持つ人も一定数いるようだ。一方で中学受験専門塾スタジオキャンパス代表の矢野耕平氏は、「医学部受験は共学校よりも女子校のほうが強い」と語る。

実は「女子校」は医学部進学に強い

「リケジョ」という表現はもう死語になったのだろうか。この表現が巷に登場したのは2011年。茨城県の県立高校の数理科学同好会の女子生徒たちの研究がアメリカの学会誌に掲載されたことに端を発するとされている。

私は「リケジョ」という表現が好きではない。「リケダン」と言わないことからも分かるように、「理系なのに女子」という偏見が透けて見えるからだ。2018年に「医学部入試の女子差別問題」が社会問題化した際にも、「女子なのに医学部なんて」という声がSNSなどで散見されたことを覚えている。

話はそれるが、先日、東京医師歯科医師協同組合、通称「医師協」主催の中学受験セミナーに登壇した。医師の親子を対象に、「しながわ水族館」を貸し切って子どもたちが水族館を巡っている間、私が保護者に中学受験の現況を解説するというイベントだ。

医師である親たちからは、わが子にも医師を志してほしいという強い思いが感じられ、そのために中学受験が近道だと考えているからか、私の話を熱心に聞いてくださった。

さて、「娘に将来医師を志してほしい」……と願う保護者に対して私は「女子校」を勧めている。なぜか。ここは論より証拠で、インターエデュ・ドットコムの公開データを編集した以下の表を見てほしい。

2024年度・医学部医学科現役合格率ランキング

2024年度の医学部医学科現役合格率ランキングのベスト10校に、女子校が3校入っている。またこれ以降、21位~30位にも女子校が6校ランクインしているのだ。

文部科学省「2023年度・学校基本調査」によれば、全国4791校の高等学校のうち、「女子のみの学校」は265校と全体のわずか5.6%に過ぎない。そう考えると、ランキングにおいて女子校の占める割合が高いことがわかるだろう。

女子校だからこそできる「数理教育」がある

矢野耕平(やの・こうへい)
中学受験指導スタジオキャンパス代表/国語専科・博耕房代表
著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書/文藝春秋)、『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書/講談社)、『ぼくのかんがえた「さいきょう」の中学受験』(祥伝社新書/祥伝社)など。Xアカウントは@campus_yano
(写真は本人提供)

そしてこれは、医学部に限った話でもないように思う。中学受験専門塾代表の私が見るに、工学部、理学部、理工学部、農学部……と、その他の理系学部への進学も、共学校女子より女子校女子のほうが多いような感覚があるのだ。

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